ちばの選挙

不満の受け皿じわり拡大 逆風に閣僚危機感10区

 自民党前職・林幹雄の陣営はこの数カ月、地元有権者から幾度も同じ言葉を聞いた。「一度、民主にやらせてみてもいい」。厚い保守地盤にも変化を求める声がじわりと拡大。現職閣僚ながら「初当選時より先が読めない」(選対幹部)との危機感が覆う。

 3度目の対決となる民主党新人・谷田川元は県議を辞して6年間の浪人中に選挙区をくまなく回り、野党候補としての立場も鮮明に。「政権交代」を旗印に不満の受け皿となる手応えをつかむ。

 父親の故大幹氏を支えた組織を引き継ぎ、小選挙区比例代表並立制導入後も手堅く連続当選を伸ばしてきた林。2003年には谷田川との保守分裂選を勝ち抜き、前回05年は民主入りした相手の比例復活すら許さなかった。

 その林の牙城、匝瑳市などの農村部でも「『自民ではだめだ』という声がようやく出てきた」と、谷田川陣営の地区担当者は強調する。直前の民主入りが想定以上の反発を招き「説明に追われて選挙にならなかった」という4年前から様変わり。農家の男性(72)は「現状の農業政策に未来はない」とつぶやく。林の地元銚子市でも市立病院休止の混乱をめぐり「指導力」に疑問を呈する声がある。

 農業や商工関連団体などを回ってミニ集会を精力的に開き、豊富な経験と実績を党政策を交えて訴える林。8月上旬には早くも党県連の広報カーと駅頭に立つなど安泰ムードはない。国会議員を頂点とする独特の“集票ピラミッド”を形成してきた地方は、農業衰退や支援者の高齢化、景気低迷の影響を受けて疲弊が進み、全国的な流れに抗する歯止めを失いつつある。

 地元の保守系元議員は「組織から支援の約束を取り付けても、末端までその通りとはいかないだろう」と指摘。前職支援に動かない構えを見せる自民系議員も出てきた。林はなるべく地元に張り付くため、治安・防災閣僚として頼まれる応援演説も、吟味せざるを得ない守りの戦いだ。

 前回選挙で公認候補が約1万票を獲得した共産が候補擁立を見送ったことも、谷田川陣営にとっては好材料となりそうだ。

 鍵を握るのは浮動票が多い成田市のニュータウン地区。8月2日、民主党の鳩山由紀夫代表が行った演説会には人垣ができた。ただ「個人票に結びつくかは未知数」(谷田川陣営幹部)で、同席した谷田川の口からは「成田空港の発展なくして日本の発展はない」と、林がライフワークとする成田空港振興を強く意識した発言も飛び出した。

 幸福実現党の新人・金井貴雄は党政策のPRに全力を挙げる。(文中敬称略)


  • LINEで送る