ちばの選挙

予想される「辛勝惜敗」 強固な地盤に逆風12区

 「どちらが勝つにしても辛勝惜敗。大勝はない」。自民党前職・浜田靖一の陣営幹部はかつてない自民党への逆風に、こう漏らす。

 小選挙区比例代表並立制移行以来、上総地域の浜田と安房地域の中村正三郎とのコスタリカ方式で自民党が盤石な体制を築いてきた12区。2005年の中村引退後も、浜田は郵政選挙の追い風と父・幸一時代からの厚い地盤と知名度で順調に5選を重ねてきた。

 前回の郵政選挙では、従来の自民党候補の得票数に“追い風”とみられる票が3万近く上乗せされた。だが、今回その風は止むどころか向きを変えた。決起集会や出陣式であいさつした多くの来賓は口々に「自民党への逆風」を強調し、組織引き締めに懸命だ。

 逆風に加えて、従来農村部を束ねていた特定郵便局長らがこぞって民主党新人の中後淳を支援。過去の選挙で公認候補が1万票以上獲得している共産が、今回初めて独自候補を擁立しなかったことがどこまで影響するかなど、懸念材料は少なくない。

 さらに、現職の防衛大臣のため、各地の応援演説で自身の地元入りが減少。公示日も他候補応援のため夕方には地元を離れており、別の陣営幹部が「後半戦はどぶ板を」と危機感を募らせるにもかかわらず、本人の選挙区回りが少ない状況が続いている。

 そんな中、陣営幹部は「問題は『民主への風』ではなく『自民への逆風』」と指摘。浜田は出陣式で「全部面倒をみることなどできるはずがない。なぜ本当のことを言わないのか」と暗に民主党のマニフェストを批判した。

 対する中後は、1年半前から政治活動を続ける。選挙区内すべてを自転車で回る街宣活動や毎朝の駅立ち、全戸配布の政策アンケートなどを通じて地道に浸透を図ってきた。袖ケ浦・木更津・君津3市の新住民に多い無党派層には特に重点を置き、公示前から政党ビラの配布や土日を中心とした団地前での街頭演説を展開してきた。

 陣営幹部は、駅立ちや自転車遊説での反応に手応えを感じつつも「『いける』という感じがまだない」と話す。というのも「(民主党票は)ほとんど固めたものの、無党派層の(投票)動向が読み切れない」からだ。

 連合千葉や郵政政策研究会など一部の支援組織に頼るのみで、ほとんどボランティア選挙に近い戦いを続けてきた中後陣営。組織力では、浜田に及ばない。

 「今の流れでいけばいいが、この風向きのままいくとは単純に考えられない」と中後。駅立ちなどの反応に手応えを感じながらも、見えぬ無党派層の動向を気にかける。

 幸福実現党新人・田辺丈太郎は知名度アップを目指す。(文中敬称略)


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