特産トマト、梨「全滅」も 農作物被害 千葉県全容つかめず 台風15号爪痕激しく

強風で傷ついたトマトを見つめる岩井貴生さん=13日、八街市(共同)
強風で傷ついたトマトを見つめる岩井貴生さん=13日、八街市(共同)

 全国有数の農業県の千葉県を襲った台風15号で、特産のトマトや梨など多くの農作物が大打撃を受けた。爪痕は激しく、ビニールハウスは倒壊し、「全滅」と話す農家も。県は農業関連被害が180億円を超えるとしたが、依然として全容はつかめておらず、さらに増える可能性がある。

 「どこから手を付けたらいいのか分からない」。骨組みがひしゃげ、ビニールが吹き飛んだハウスの中には、まだ青いトマトが散乱していた。八街市の農家、岩井貴生さん(59)は、所有する13棟全てが破壊された。

 ちょうど出荷が始まったタイミングでの台風直撃。枝についたままだった実も黒く傷み、全て売り物にならないという。妻、三代子さん(59)は「一晩で景色が変わってしまった」と嘆いた。

 ハウスの建て直しには数百万円かかり、さらに出荷できなかった損失も加わる。還暦を前にして新たに借金を背負うのは厳しいが、岩井さんは「待っていてくれる人がいるから、辞めようとは思わない」と力を込めた。

 山武市の「原梨園」では梨の木を覆う防風ネットが破けた。園主の原圭二さん(61)は「直後は実が落ちて、じゅうたんのようになっていた」と振り返る。20年以上かけ、一から造った約1万平方メートルの農園。至る所でネットを支える柱がゆがみ、張り巡らされたワイヤが切れた。

 全体の半分ほどは収穫を終えていたが、被害は深刻。今後予定していた梨狩り体験も開催できない状態だという。それでも毎年出荷を心待ちにしている顧客や梨狩りに来る子どもたちの顔が浮かび、「頑張るしかない」と自分に言い聞かせた。

 県によると、12日時点の被害額は、農業施設が約136億円、農作物が約48億円。担当者は「農家への聞き取りなどをして、被害の全容把握を進めたい」としている。


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