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多古町×イオン 里山プロジェクト始動 ―つくる・つかう・つながるの環―

新たな里山モデルへ

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同プロジェクトの一環である植樹に参加した地域住民と多古町とイオンの関係者ら

 多古町とイオン(千葉市美浜区)らは、「多古町イオンの里山プロジェクト」を4月に発足させた。少子高齢化や農業の担い手不足により、里山の維持・継承が課題となる中、町や地域住民を主体に、イオンがこれまでの森づくりや環境教育の知見を活かして支援し、生物多様性の保全・回復と地域価値の創出を目指す。里山を「守る」だけでなく「活かす」ことで持続可能なまちづくりを進め、新たな里山モデルとして期待される同プロジェクトを紹介する。

多古町の課題と地域再生への挑戦

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多古町の風景

 県北東部に位置する多古町は、栗山川流域の肥沃(ひよく)な大地で育まれる「多古米」を特産とし、田園と森林が織りなす豊かな里山環境を大切にしてきた。しかし、時代の変化とともに農業の担い手不足や森林の荒廃が深刻化。人口減少、高齢化、地域経済の停滞といった、地方自治体に共通する課題に直面している。

 人口1万3057人(2026年4月時点)の同町では、若年層の流出と生産年齢人口の減少で地域の活力が低下し、公共交通機関の維持や老朽化したインフラの管理にも影響を及ぼしている。さらに、自然災害に対する防災・減災対策の強化も急がれる。

 こうした状況に対し、成田国際空港に近接するという地理的優位性を生かした戦略、「暮らしと産業が調和したエアポートシティ」を独自のビジョンとして掲げ、地域再生の道を模索する。秋に開通予定の圏央道多古インターチェンジ周辺に産業拠点や成田空港新貨物地区の隣接地に国際航空物流拠点の整備を進めることで、地域全体の活性化を図る。町の西側エリアでは空港を核とした物流・産業拠点を構築し、東側エリアは自然と調和した「ナチュラルライフエリア」として、豊かな農産物と地域文化を軸とした発展を目指す。

 地域再生のカギを握るのが、大手企業との連携だ。イオンとの「多古町イオンの里山プロジェクト」は、その具現化の一歩として大きな期待が寄せられている。同プロジェクトにより、遊休農地の水田再生、生物多様性の保護、自然環境の保全を進め、同社の発信力やネットワークを活用して住民と共に新たな里山モデルを構築する計画だ。

 平山富子町長は、プロジェクトを通じて、将来を担う世代が「ここに生まれてよかった、住んでよかった、と思える輝く町を創り上げたい」と力を込める。地域住民が誇りを持って活動し、訪れる人々が豊かさを感じる「循環型のまちづくり」のモデルケースを目指している。

 同町の挑戦は、地域独自の資源や特性を最大限に生かした解決策を見出し、全国に先駆ける好事例となるだろう。

「多古町イオンの里山プロジェクト」とは

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地域と自然が共生 「多古町モデル」を全国へ

 同社は、里山の再生と地域価値の創出を一体で進める「イオンの里山プロジェクト」を4月に始動した。そのモデルケースとして立ち上げたのが「多古町イオンの里山プロジェクト」だ。これまで同社が店舗で進めてきた環境活動や、森づくりの考え方を、地域の里山や自然資源の再生へ広げ、自然・経済・コミュニティが循環する仕組みづくりを目指す。

 同社は、同町での取り組みを通じて、地域主体で継続できる里山再生のモデルづくりを進め、将来的には他地域への展開も視野に入れる。

里山を「守る」から「創る」 持続可能な循環へ

 同プロジェクトの背景には、気候変動や生物多様性の損失といった世界共通の課題や、国内各地の里山が直面する担い手不足による維持困難という固有の問題が存在する。
 
 同社は、地域に根差した事業を展開する企業として、35年間にわたり「イオンふるさとの森づくり」を通じ、植樹活動を続けてきた。この長年の取り組みで培った知見と住民との協働を基盤とし、自然と人の関係を地域の中で再構築する役割を担っている。里山を単に「守る」対象としてだけでなく、「地域の価値を創出する資源」へと再定義することで、自然・経済・コミュニティが好循環する持続可能な仕組みを作り上げていく。

里山再生を目指し 地域一体で始動

 同町は、自然豊かな環境に恵まれ、圏央道多古インターチェンジの整備や成田国際空港のさらなる機能強化などにより、今後の交流人口増加が見込まれる。また、同グループの食品スーパー・カスミがすでに地域に根差しており、同プロジェクトでは、これらの基盤を生かし、里山と生活圏の接続を図る。

 活動の中心となるのは、同町高津原地区の旧興新小学校周辺のフィールド。「森のエリア」「田園のエリア」「丘のエリア」に分けて住民参加型で取り組んでいく。昨年12月より準備を開始し、ワークショップを3回開催した。約40名の住民が参加し、166件ものアイデアが生まれている。今後は「高津原里山再生活用協議会」を立ち上げ、「資源利活用」「環境保全」「教育・育成」の三つの分科会を設置し、具体的な実行計画を策定し実施していく予定だ。

里山プロジェクトの3本柱

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●つくる:森林整備(植樹・間伐)や生態系の回復、多種多様な生き物調査を通じて、生態系を回復させ、気候変動に強い天然のインフラを構築し、遊休農地の水田再生も進め、地域の災害レジリエンスを高める。

●つかう:里山の恵みを地域の生産者と共に新たな価値へと変換・活用する。同町の米ブランドをはじめ、農産物の生産・商品化、地産地消を推進。里山カフェや農の体験ツアーなどを企画し、地域に経済循環と新たななりわいを創出する。

●つながる:里山の価値を「まち」へ届け、次世代へとその思いを継承。環境教育・次世代育成、ワークショップや交流機会の創出を通じて、交流人口や関係人口の増加を促す。イオン店舗を商品販売・体験機会提供の拠点として活用し、里山と「まち」をつなぐ。

循環型まちづくり推進 多古町長 平山 富子

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多古町長 平山 富子

 多古町は豊かな自然環境と人々の暮らしに息づく里山環境がある一方、農業の担い手不足や森林荒廃が進み、農業や森林の適切な管理維持が困難となっています。

 イオンさまには、多古町の自然資源を次世代に継承し、地域活性につなげるべく、熱意をもってご検討いただいてきました。今回、協定締結という形で実を結んだことは、お互いの持続可能な社会を創りたいという思いが重なった結果だと考えています。

 本協定を通じ、遊休農地となっている水田を再生し、多様な生き物が生息する資源を再び手に入れることで、自然環境を守ってまいりたいと考えております。

 イオンさまの発信力とネットワークを活かし、地域の皆さまが誇りをもって活動することで、訪れる人々が多古町の豊かさを肌で感じられるような、循環型のまちづくりのモデルケースとしてまいります。

地域資源の再生へ尽力 イオン株式会社 執行役 人事・サステナビリティ担当 岡田 尚也

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イオン株式会社 執行役 人事・サステナビリティ担当 岡田 尚也

 イオンは、店舗の敷地内での植樹や、環境破壊・自然災害などで失われた森を再生する「ふるさとの森づくり」を、35年間続けています。地域の皆さまと木を植え、育てる中で、自然との関わり方を学んできました。近年、気候変動や生物多様性の課題がより身近なものとなる中で、人と自然の関係を地域の中で育て、共に広げていく重要性を強く感じております。

 私たちはこれから、この地で自然を守ること、地域の暮らしや農業がきちんとつながる形を探してまいりたいと考えております。自然を守ることが地域にとっての価値になり、それが人や仕事の流れにもつながっていく、そうした形を作っていきたいと思っております。この多古町での取り組みが、同様の課題を抱える他の地域にも広がっていき、一つのモデルになることを期待しております。

里山再生で協働 多古町とイオンが連携締結式 【多古町イオンの里山プロジェクト】

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協定式が行われた同町の旧興新小学校

 多古町とイオン4者は、「多古町イオンの里山プロジェクト」を立ち上げ、地域連携協定を締結した。人口減少や担い手不足などにより、里山の維持・継承が課題となる中、町や地域住民を主体に、イオンがこれまでの森づくりや環境教育の知見を活かして支援。生物多様性の保全・回復と地域価値の創出を目指す。イオンのノウハウを結集し、自然共生型地域モデルを千葉から全国に発信する。4月に協定締結式が行われ、地域活性化への期待が語られた。

共通基盤より強固に

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協定を結んだ関係者ら

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桜の植樹を行う参加者ら

 多古町、イオン、イオンワンパーセントクラブ、イオン環境財団は、同町が持つ里山環境の価値を再発見し、その潜在力を地域の未来づくりに活かすため、地域住民と同社がともに考え、形にしていくことを目的とした「多古町イオンの里山プロジェクト」を始動させ、地域連携協定を締結した。

 主な連携内容は、多古町内里山再生に関すること▽地域における生物の多様性の推進のための活動の促進等に関する法律第条に基づく主務大臣の連携増進活動実施計画の認定を取得すること▽里山資源の利活用及び環境教育活動に関すること▽その他、多古町の活性化に関すること。

 同町高津原で開かれた締結式で、同社担当者がプロジェクト概要を紹介。高津原が持つ豊かな自然を生かし、地域住民との協働を通じて、新たな価値を生み出す実証フィールドと位置づけることを解説した。

植樹でつなぐ未来

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植樹に参加した地域の子どもたちと平山町長(右)と岡田執行役(中央)

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多古米ならではの甘みを味わった

 締結式後には、同社と同町関係者と地域住民による山桜の植樹が行われた。今後は、復田や間伐、いきもの調査などを継続的に行うほか、新規就農希望者への多古米づくり教育や、地域生産者支援につながる販売ルートの確立などについて、地域住民と協議しながら進めていく。

 植樹後、参加者らには多古米のおにぎりが振る舞われた。町内在住の津島一男さん(77)は、「人口減少は毎年、じわじわと感じていたこと。だからこそ、今回の取り組みにはすごく期待している。これが一つのきっかけ、モデルケースになってもらえれば。多古米は本当においしいから、多くの人に知ってもらえたらうれしい」と話した。

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「木が大きくなり、花がいっぱい咲くことが 楽しみ」と話す児童ら

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植樹後に振る舞われた多古米のおにぎり