ちばの選挙

“臼井ブランド”正念場 世襲候補が挑む1区

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 「私は後衛。選挙中は事務所で接待係だ。世襲問題はまったくナンセンスに思うが、社会的にはそうじゃない。(私が表に)出ればマイナスになる」

 自民党新人・臼井正一の父、日出男(70)は裏方役に徹する心の内を、もどかしそうにつぶやいた。

 衆院議員を8期27年、法相も務めた自民県連最高顧問の日出男が、県議2期目だった長男・正一に地盤を譲る腹を決めたのは「解散秒読みか」と言われた昨年9月。直後に麻生太郎首相が誕生し、正一は出馬表明した。発足当時、50%近くに上った高い内閣支持率をバックに突入するとみられた総選挙は、リーマン・ショックの余波拡大とともに幻に。

 解散が先送りされ、じりじりと降下する内閣と自民の支持率。にわかに党内でざわめき出した世襲候補の出馬制限論争。結局、自民党は、「公認内定取り消しは党の信用問題にかかわる」として、小泉純一郎元首相の次男とともに、“特例”で正一を公認した。一方、民主党は「多様な人材が政治家になることを阻害する」として、今回から世襲候補を公認しない方針を決定し攻勢をかける。

 正一は「(世襲問題が)メディアに取り上げられ、自分の思いを述べることができた。(知名度も上がり)マイナスだけではない」と前向きだが、陣営は批判の拡大に警戒する。

 正一に引き継がれた後援会が7月上旬、選挙区内の各種団体や地域の代表者を集めて開いた会合。解散(同月21日)を見据えた陣営最初の大型選対会議となり、出席者には想定投票率や目標得票数など詳細なデータが提示された。あいさつに立った林昇志後援会長(株グリーンタワー相談役社主)は「私も(会社を)せがれに継がせたが、経営者の器や将来性がなかったら社長にしなかった。正一君が後を継いでも、立派に政治家として将来を担ってくれるはず」と訴え、正一が後継となった“正当性”をアピールした。

 一方前回、日出男に敗れたものの比例復活した民主党前職の田嶋要は「私はまだ(2期)6年の挑戦者。相手はあの人のおじいさん(元衆議院議員の故・臼井荘一)だ。半世紀にわたって君臨した彼の一族と戦っている。3代の世襲と戦う」と県都の牙城制覇に万全の準備を進める。

 さらに共産党新人の安喰武夫は「自民の2世、3世は国民の立場で政治をしていない」、幸福実現党新人の階一喜も「貴族院と同じでアンフェア」と問題視する。

 「歯を食いしばり、火の玉になって総選挙に臨む」と奮い立つ正一。底力を見せるか、それとも風前か。“臼井ブランド”はかつてない厳しい正念場を迎えている。(文中敬称略)

 ◇千葉1区=千葉市中央区、稲毛区、美浜区。