
経済産業省が26日発表したレギュラーガソリン1リットル当たりの千葉県の平均小売価格(24日時点)は167円40銭で、3週連続で上昇した。全国平均は170円20銭で価格急騰抑制策の発動基準を突破。政府は石油元売りに対し、27日の卸売り分から1リットル当たり3円40銭の補助金の支給を始める。県民は「少しでも安くなって」と期待するが、小売価格にそのまま反映される訳ではなく、県内の業界関係者は消費者の“誤解”を懸念している。
経産省によると、県内の24日時点のレギュラーガソリン平均小売価格(税込)は、17日時点の前回調査と比べ2円10銭高い167円40銭。昨年1月25日の135円80銭と比べ約30円、値上がりした。
全国平均は前回調査より1円80銭高い170円20銭で、福島を除く46都道府県で上昇。灯油18リットル当たりの全国平均価格は29円高い1987円で、2008年10月以来13年3カ月ぶりの高値となった。
調査を受託する石油情報センターによると、来週の価格は「横ばい」の見通し。原油価格は上昇するが、政府の急騰抑制策で相殺すると見込まれるからだ。
急騰抑制策について、約750給油所が加盟する県石油協同組合の担当者は「値段が高くなるのを抑える策で、安くするのが目的ではない。単純に店頭価格が3円40銭安くなることはなく、それが消費者に十分に伝わっていない」と不安を口にする。
同組合によると、店頭価格は、輸送コストや販売量、他店との競合環境などで決まる。県内には製油所があり、ガソリンスタンドが多いため店舗間の価格競争が激しく、小売価格は全国平均より低い。もともと「最低限のマージン」で経営している店もあるといい、「簡単には値段を下げられない事情もある」と打ち明けた。
千葉市中央区のガソリンスタンド「千葉石油千葉登戸給油所」の原島俊哉所長(40)は「補助金は元売り業者に支給される。『ガソリンスタンドが補助金をもらっているのに値下げしない』と消費者に誤解されるのが心配」と吐露する。
同店は、新型コロナ感染拡大に伴うリモートワークの普及と外出自粛の影響などで、営業車や高齢者の給油頻度が減少。価格高騰に伴う利用控えも懸念される。原島所長は「消費者にできるだけ還元したい気持ちはあるが、仕入れ値が高くなっており、店側も利益が出ないほどぎりぎりの状態」と複雑な心境を明かした。
同区にある別のガソリンスタンド店の所長も補助金で小売価格が下がると誤解されないか懸念。ウクライナを巡る米ロ対立などの世界的要因で「原油価格に影響が出るかもしれない」と先行きを不安視した。
給油に訪れた男性会社員(61)は「仕事や私生活で車を使うので政府の政策で少しでも安くなってくれたらうれしい」と話した。