「本音は値上げしたい」 原油高でクリーニング店やキッチンカー、コロナ禍重なりため息

原油高を背景に高値となっているガソリンスタンドの価格表示=20日午後、千葉市内
原油高を背景に高値となっているガソリンスタンドの価格表示=20日午後、千葉市内

 「本音は値上げしたい」―。原油価格の高止まりに、経営に苦しむ事業者から本音が漏れる。新型コロナ禍でダメージを受け、感染状況が落ち着いてようやく動き始めた経済活動だが、原油高騰に足を引っ張られる。「客の懐事情も厳しいだろうから…」と、簡単に値上げに踏み切れず、ため息は尽きない。

 牛すじ煮込みなどを提供する「キッチンカーざるや」の店主、大山克己さん(51)は、千葉市若葉区の自宅から連日、浦安、市川、木更津のほか、東京都内へも車を走らせる。給油は営業の帰り。「ただでさえコロナで苦しいのに、売り上げが少ない日は千円ほどしか残らない」。加熱や冷蔵に使う発電機の動力もガソリン。車と合わせて一日約10リットルは消費しており「新規の出店依頼にも応えたいが、遠方の依頼は断るかも」ともどかしい。

 千葉市若葉区のイチゴ農園「Y’SAgri」は新型コロナでイチゴ狩りの客足が伸び悩み、ビニールハウスの室温維持などに使う油の高騰で“ダブルパンチ”。経営する芳沢和哉さん(32)は「年明けには値上げも考えなければ」と声を落とす。

 同農園はイチゴの品質を保つために重油でボイラーを炊き、ハウス内の室温を維持。締め切る冬場は光合成に必要な二酸化炭素が不足するため、二酸化炭素を生成する機械を灯油で稼働させている。出荷するイチゴを梱包(こんぽう)するパックやフィルムなどの値上げも相次ぎ、それぞれ約1~3割コストが増したという。

 昨年7月に開業したばかりの同園。昨季のイチゴ狩りは新型コロナで客自体が少なくなった上、感染予防で人数制限をかけたため、当初の見込みほど来園者数が伸びなかった。12月中旬から始まる今季の客数も不透明だ。「売り上げを確保するため、イチゴやイチゴ狩りの休日料金の値上げなど何らかの対策を考える必要がある」と話した。

 「本音を言うと値上げしたい」とつぶやくのは同市中央区でクリーニング店を経営する男性(46)。コロナの影響で冠婚葬祭への出席が減る一方でリモートワークが拡大し、礼服や背広、ワイシャツをクリーニングに出す人が減った。

 追い打ちをかけるように、アイロンの蒸気を作るために1日40~50リットルは使う灯油の料金が18リットル当たりで500円近く値上がり。石油製品のハンガーや包装用シートなどの値上げも予想される中、男性は「本音は値上げしたいが、客の懐事情が苦しいと難しい」と複雑な心境を明かした。


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