虐待見落とし防止へ 「臨床法医外来」が始動 千葉大病院小児科

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臨床法医外来が行われる千葉大病院小児科の診察室でカルテを見ながら話し合う斎藤さん(左)と法医学者の猪口さん=千葉市中央区
臨床法医外来が行われる千葉大病院小児科の診察室でカルテを見ながら話し合う斎藤さん(左)と法医学者の猪口さん=千葉市中央区

 虐待が疑われる子どものけがを正しく診断し適切な対応につなげるため、今年7月に千葉市中央区亥鼻1の千葉大学病院小児科に「臨床法医外来」が開設され、順調に動き出した。千葉県警や児童相談所(児相)が保護した子どもを法医学を専門とする医師が診断し、児童虐待の痕跡や兆候の見落としを防ぐ。開設から10月末までに、0歳児から小学校高学年の子ども3人を計7回診察。来年以降は年間20人ほどを診察できる体制に整える方針。

 児童虐待への対応で千葉大は2014年、大学院医学研究院付属法医学教育研究センターに臨床法医学の部門を設立し、警察や児相の依頼を受けて、虐待が疑われる子どものけがの評価などを行ってきた。意見書を作成して警察や児相に提出するなど協力してきたが、医療機関ではなく、医学的検査を行えなかったのが課題だった。

 臨床法医外来の開設により、同センターと連携し、血液検査や画像検査などが同時に可能となった。検査データを「法医学者」「法医画像診断医」「法歯学者」「法中毒学者」らが法医学的見地から分析し、これまで以上に客観的で公平な診断が行えるようになった。

 具体的には、法医学者が子どもの体のあざなど表面的な傷のほか、過去の骨折箇所なども調べる。法歯学や法中毒学的見地からも体を調べられるようになり、口の中や中毒検査も実施できる。

 臨床法医外来では将来、子どもだけではなく、暴行・DV被害の成人や高齢者の診察も行う意向。臨床法医外来の小児科医、斎藤直樹さん(40)は「公平公正な目で子どもの虐待被害を正確に評価したい。実績を積み、範囲を広げて社会に還元したい」と意気込む。