腹にスローロリス 関税法違反未遂容疑 運び屋か、無職男逮捕 千葉県警など

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又耒容疑者が輸入しようとしたレッサースローロリス(千葉県警提供)

 絶滅の恐れが高いためワシントン条約で国際取引が禁止されているアジアの小型サル「レッサースローロリス」をタイから輸入しようとしたとして、千葉県警生活経済課と東京税関成田支署、成田空港署は11日、関税法違反(無許可輸入)未遂の疑いで東京都葛飾区東水元4、無職、又耒晃容疑者(54)を逮捕した。又耒容疑者は2007年9月以降、タイに91回渡航しており、県警では運び屋として輸入を繰り返していたとみて調べている。

 レッサースローロリスはサルの一種で、同条約では附属書Ⅰに掲載され、絶滅のおそれがあるとして商業目的の国際取引が禁止されている。

 逮捕容疑は4月7日、レッサースローロリス4匹を、腹部のコルセットの間に隠し、タイ・ドンムアン空港発成田空港行き航空便に搭乗。レッサースローロリスを申告せず輸入しようとしたところ、成田空港第2ターミナル到着時、税関検査で同支署員に発見された疑い。

 同課によると、レッサースローロリスは雄雌ペア2組。生後約2週間程度で、大きさは手のひら大。又耒容疑者は巾着袋に2匹ずつ入れ、腹のコルセット内に隠していた。規制前に繁殖し登録しているレッサースローロリスは、日本国内では60~100万円程度で取引されているという。又耒容疑者はレッサースローロリスを輸入しようとしたことは認め「自分がペットとして飼おうと思った」などと供述している。

 又耒容疑者は2007年9月4日~今年8月19日で91回渡航、今年に入ってからは同日までに23回タイに渡航している。又耒容疑者は「タイのマーケットで4匹1万円で買った」などと話しているという。自宅の捜索では、ケージやエサなどは見つかっておらず、県警では商業目的で輸入を繰り返していたとみて追及している。

 同課によると、レッサースローロリス4匹は名古屋市内の動物園に保護されたが、うち3匹は死んだという。

◆動物のこと考えて 千葉市動物公園

 今回密輸されたとされるレッサースローロリス2匹を飼育・展示する千葉市動物公園(千葉市若葉区)の伴野修一飼育一班班長(56)は密輸の危険性を指摘したうえで、「飼いたい気持ちは分かるが、まずは動物のことを考えてほしい」と訴える。

 昨年の11月に福島と埼玉の動物園から譲り受け、今年1月から雄と雌を1匹ずつ展示。「名前の通り、動きがゆっくりで、動いている時は来園者に人気」だという。

 相次ぐ密輸の背景を「牙はあるが、あまり噛みつくことはない。大人しくてペットとして飼いやすいからでは。大きさも運びやすい」と推測。ただ「隠すために通常の方法でない運び方をすれば、動物が途中で死んでしまうこともありうる」とその危険性を警告する。

 絶滅危険性の高い動物の密輸については「ペットとして飼いたい気持ちはわかるが、動物にとって本当に良いことなのかを考えてほしい」と警鐘を鳴らした。

◇スローロリス 東南アジアを中心に生息する小型の夜行性霊長類。大きくても体長40センチ程度。2007年からワシントン条約で国際取引が禁止された。複数の亜種があり、中でもジャワスローロリスは「極めて絶滅の恐れが高い」とされる。日本国内では、条約の規制前に入手したものや国内で繁殖したものに自然環境研究センターが登録票を発行。登録票がないと譲渡や販売ができない。タレントがペットとしてテレビで紹介したことなどから人気が高まったが、日本向けの密輸や死んだスローロリスの登録票流用などの摘発が相次いでいる。