丘陵の渓流沿いの細長い畑地、遠くでホトトギスの声が「オ、キョキョ…」と響き渡り、モリアオガエルの卵塊が竹林にぶら下がっている。
畑には猪や鹿の侵入を防ぐための網が張られている。そこに、灰褐色の小鳥が網を張る竹棒の先にひょいと止まった。尾が赤みを帯び、つぶらな瞳と短いくちばし、白い腹、これといって特徴がない。カメラを向けても地面を片目でじっと見たり左右を見たりして逃げない。そのうち、脚やくちばしを使って羽づくろいを始めた。15分ほどの心和む一時であった。
「キビタキのメス?」と思った。そのわけは、この付近で毎春、キビタキのフルートの音色のような鳴き声を聞いていた。若いころ、キビタキの声は長野県の八ケ岳で何度も...
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