依存脱却体験、本に 「つながらないというぜいたく」 松戸出身エッセイスト 忍足(おしだり)みかんさん(25) 『#スマホの奴隷を やめたくて』

スマホ依存から脱却した忍足さん。当時は「スマホ=心臓」だったという=松戸市
スマホ依存から脱却した忍足さん。当時は「スマホ=心臓」だったという=松戸市

 松戸市出身のエッセイスト、忍足みかんさん(25)がスマートフォンに束縛されていた学生時代を振り返り、いわゆる「ガラケー」タイプの携帯電話に原点回帰するまでの道のりをつづったデビュー作「#スマホの奴隷をやめたくて」(文芸社)を出版した。ガラケーユーザーとして奇異の目で見られることに「多数派でなくたっていい」と割り切り、「(SNSで)つながらないというぜいたくがある」と“一億総スマホ依存社会”に一石を投じている。

 忍足さんは小学1年生だった2001年、習い事で外出した際、家族と連絡を取るために初めて携帯電話を持ち、電話やメール、次第にSNSを使うように。高校生になると、同級生にもスマホユーザーが登場。「ボタンがない」。衝撃はあったものの、当時は「大変そう」と敬遠していた。

 高校を卒業し、進学した13年春、クラスで無料通信アプリLINE(ライン)のグループに入れず、手間を感じた周囲の同調圧力に根負け。夏に渋々、ガラケーからスマホに移行し、すぐに後悔の念に駆られた。「文字入力がしにくい。画面がまぶしい…」

 だが、「こんなのとても使いこなせない」という思いは杞憂(きゆう)に終わった。指を滑らせるフリック入力は日に日に上達。パズルゲームのほか、スマホでより手軽になったSNSにのめり込み、画面上の評価を求め、行く先々で写真を撮っては投稿した。友人からは「依存」と指摘されるほどになった。

 就職活動に臨んだ16年。首に痛みを感じ、スマホの長時間使用に伴う症状と判明。さらには視力も低下した。卒業を控えた17年2月には「歩きスマホ」中に交通事故に巻き込まれそうになり、事の重大性を認識。スマホとは距離を置き、社会人になって迎えた夏、かつては体の一部とまで思った存在と決別した。

 現在、仲の良い友人には「電話かメールで連絡してほしい」と理解を求めており、SNSはツイッターをエッセイストの活動の一環で使う程度。「ぼうっとする時間がないと心に余裕がなくなる」との考えから、暇を味わうことを大切にしている。

 依存から脱却したエピソードをつづったが、スマホ自体を否定するつもりはない。背景には、多数派と少数派の間にそびえる“壁”に関するメッセージが込められている。

 「日本では同調圧力が強く、多様性を認めないところがある。少数派でも尊重されるようになれば」。自らのペンの力を信じ、違いを認め合う社会の実現を願っている。

 四六判、148ページ。価格は千円(税別)。全国の主要書店で取り扱い中。


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