復興半ば住民と共に 山間部の安全守り15年 富津署関豊駐在所 遠藤広貴さん(45)=富津市= 【支える 台風・豪雨被災地から】(3)

富津署関豊駐在所に勤務する遠藤さん(左)と妻の英子さん=富津市
富津署関豊駐在所に勤務する遠藤さん(左)と妻の英子さん=富津市
富津市では断水も起き、給水車により飲料水が提供された=昨年9月11日
富津市では断水も起き、給水車により飲料水が提供された=昨年9月11日

 鴨川市との境に近い富津市豊岡地区の富津署関豊駐在所に2004年3月から勤務している。山あいの地域が多く、管内には約450世帯が暮らす。普段から各地区を回り「どこに誰が住んでいて、各世帯の家族構成も把握している」といい、住民からは「遠藤さん」と呼ばれている。

 千葉県南部に甚大な被害をもたらした昨年9月9日の台風15号。夜が明けて、駐在所前に広がる山林を見てがく然とした。「山の形が変わるぐらいの倒木で、これは大変なことになりそうだ」。なたとのこぎり、シャベルを持って駐在所を飛び出し、地域住民と一緒に幹線道路をふさぐ倒木を撤去した。土砂崩れで孤立状態になった住宅からは、消防隊員と協力して寝たきりの高齢者を助け出した。

 富津市では停電が長引き、駐在所でも2週間ほど電気が止まった。妻の英子さん(45)と高校1年の長男(16)、中学1年の次男(12)の4人家族。市外から来たボランティアが炊き出しをして料理を振る舞ってくれ、電源を確保するためのバッテリーを貸してくれた人もいた。「私たち家族もボランティアの人たちに支えてもらった」と振り返る。

 富津署管内には登山客が訪れる山があり、17年には山岳遭難者の捜索を主な任務とする特別警備隊が設立された。高校時代にワンダーフォーゲル部に所属していた経験を買われ、警備隊発足当初から現場の指揮を任されている。「富津に来てから40回以上は遭難事案で山に入っている」と説明する。

 台風の暴風雨により山中では倒木や土砂崩れが相次ぎ、初心者向けのコースでも危険な場所が残っているという。台風後の10月には担当する山中地区で登山客が亡くなる事故が発生。同僚と捜索に入ったが、救助することができず悔しい思いをした。今も住民と共に倒木を取り除き、道しるべを立てる活動を続けている。

 警察官には異動がつきものだが「山の中の駐在」に赴任して15年。子どもたちは自然に囲まれた環境の中で、伸び伸びと育ってくれた。英子さんも駐在業務に協力してくれながら、地域活動にも顔を出している。 担当地域には、いまだにブルーシートに覆われたままの住宅も残っている。災害対応を通じて改めて思った。「富津には自分を必要としてくれる人がいる。できればここで勤務を続け、住民に寄り添っていきたい」


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