愛する故郷守りたい 地域復旧「つなぎ役」 移住促進NPO代表 八代健正さん(51)=館山市= 【支える 台風・豪雨被災地から】(2)

復興への思いと“館山愛”を語る八代さん=館山市
復興への思いと“館山愛”を語る八代さん=館山市
富崎地区に集まるボランティアら。地図には住民一人一人のニーズが書かれた付箋が貼られている=昨年9月22日、館山市
富崎地区に集まるボランティアら。地図には住民一人一人のニーズが書かれた付箋が貼られている=昨年9月22日、館山市

 子どものころから父親の仕事の都合で千葉県内外を転々とし、中学生の時から住み続けている館山市だけが「唯一のふるさと」。昨年9月の台風15号は、愛する故郷を見るも無残な姿に変えた。「ふるさとを失ってたまるか」。そんな意地だけが、悲しみに暮れた心を突き動かした。

 館山商工会議所青年部創立50周年記念事業の一環として、地域の人口減少問題に向き合ってきた。団塊世代の大量退職に伴う田舎暮らしブームに着目し、「それに対するお節介を焼こう」と設立したNPO法人「おせっ会」の理事長。移住相談を柱に活動し、これまでに約290世帯500人の移住をサポートした。

 “本業”でない復旧活動に力を入れるようになったのは、甚大な被害を受けた市南部の富崎地区にある実家が全壊し、がれき撤去の応援に駆け付けた仲間と共に周辺の片付けを手伝ったことがきっかけ。「僕らは災害支援団体ではないが、ほかにやり手がいない」と立ち上がることを決めた。

 活動に当たっては、各地域のニーズを地図に落とし込むとともに、各地から続々と集まったボランティアに作業を割り振るなど「つなぎ役」を務め、連日にわたり大量のがれきを撤去。「やれどもやれども仕事は増えた」というが、諦めず懸命に汗を流した。

 「発災1カ月で全戸調査をしよう」。そう思った矢先、台風19号が被災地を襲った。次第に住宅のカビ除去が課題となり、薬剤などを調達する中で資金不足が深刻化。だが、このころから法人への募金が増えるようにもなった。「よし、戦える」。復旧への決意をいま一度新たにした。

 現在、屋根のブルーシートが強風などではがれる状況に対し、船舶の輸入に携わる友人から教えられた船舶保護用の特殊フィルムで屋根を覆う新たな試みを計画。作業を3月末までに終え、新年度以降は復旧から復興へのシフトを意識した活動を進めるという。

 つらい毎日だったが、明るい兆しもある。継続して活動するボランティアが地域の魅力に気付き、「通いたい」「もう一つの拠点にしたい」と言ってもらえるようになったことだ。

 「今後は僕らの手で空き家を修復し、そういう人たちが行き交うコミュニティーハウスに作り替えていければ」。災害を乗り越える過程で生まれた小さな可能性が、復興の起点になることを信じている。


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