遺体や証拠、隠蔽図る 解明待たれる“心の闇” 家族による殺人事件 【回顧2018年取材メモから】(4)

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山田容子さんの頭部が見つかった片貝海岸を調べる鑑識官ら。警察犬も投入された=10月2日、九十九里町片貝
山田容子さんの頭部が見つかった片貝海岸を調べる鑑識官ら。警察犬も投入された=10月2日、九十九里町片貝

 家族間における殺人事件が相次いだ。命を奪うだけでなく、遺体を損壊、遺棄するなどして隠蔽(いんぺい)を図っていた。憎しみを募らせたのか、それとも、一時的な感情が凶行に走らせたのか。明らかになっていない部分は多い。

 7~8月、妻の麻衣子さん=当時(30)=を殺害して遺体を埋めた容疑で、当時銀行員だった弥谷鷹仁被告(37)=柏市=が逮捕、起訴された。母親の恵美被告(64)=茨城県取手市=も殺害や遺棄を手伝った疑いが持たれている。

 鷹仁被告は3月4日、自宅で睡眠導入剤を混ぜたカレーを妻に食べさせて車に乗せ、路上に止めた車内で首を両手で絞め殺害。同日夜、母親と実家にあらかじめ掘っておいた穴に埋めて遺棄したとされる。

 9~10月には、大網白里市などの九十九里浜4カ所から、山田容子さん=当時(75)、八街市=の胴体などの切断遺体が見つかった。同居する長男、基裕被告(37)が死体損壊・遺棄容疑で逮捕、起訴されたが、容子さんが死亡した経緯や遺体を切断した理由は不明のままだ。

 麻衣子さんを殺害、遺棄した鷹仁被告は「妻が帰ってこない」と柏署へ届け出をし、駅で情報提供を求めるチラシを配るなどして、妻を探しているように装っていた。母親の遺体を切断した基裕被告は「母は友人の所にいる」と周囲に話していた。自宅風呂場を改修し、車のシートを取り換えて車両の売却を画策。遺体の切断や運搬の痕跡を隠そうとしたとみられる。

 いずれの事件も遺体や証拠の隠蔽を図っていた。麻衣子さんの両親らは「4カ月の間、私たちをだまし続けた」と非難するコメントを出した。裏切られたと憤る気持ちは察するに余りある。実母を切断、遺棄するまでに至った基裕被告には、よほどの強い意思があったと思われる。裁判を通じ“心の闇”の解明が待たれる。

 他にも四街道市で父親(46)が息子の男子大学生(20)の首を絞めて殺害し、八千代市では長男(51)が母親(78)と妹(43)を刺殺する事件があった。殺害したとされる2人はそれぞれ自殺し、容疑者死亡のまま書類送検された(年齢はいずれも当時)。

 また、酒々井町の住宅で2016年、同居する弟の竹内諒さん=当時(21)=を刺殺し遺体を切断したとして殺人などの罪に問われた姉の愛美被告(27)の裁判員裁判で、千葉地裁は3月、傷害致死罪を適用した上で懲役10年(求刑懲役18年)の判決を言い渡した。来年2月に東京高裁での控訴審判決が予定される。

 家族間トラブルは周りから見えにくい。動機は他人には理解できないのかもしれない。事件を通じ、そう感じさせられた1年だった。

(社会部・伊藤義治)