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母子家庭の支援に特化 職住接近で自立も促す 流山・シェアハウス 【「共有」を力に 社会問題解決のヒント】(中)

仕事が終わり、共用のリビングで娘とくつろぐ高橋さん=流山市のマムハウス
仕事が終わり、共用のリビングで娘とくつろぐ高橋さん=流山市のマムハウス

 複数世帯が一つ屋根の下で暮らすシェアハウス。流山市の「マムハウス」は、シングルマザーに特化したマンションタイプで、県内唯一の施設という。子育てする母親が抱える「住まい」「仕事」など、共通の悩みを解消するいくつかのアイデアがある。

 「ただいま。ほら、お姉ちゃんたちだよ」。夕方、保育園から戻った長女(1)と一緒に、マムハウス共有スペースの居間に顔を出した高橋愛美さん(24)は、ほほえみを浮かべる。「お帰り!」。先に帰っていた別の親子と顔を合わせ、団らんの時間が始まった。互いに子どもの面倒を見たり、子ども同士で会話を楽しんだり。子育ての孤独感からも解放される。

 高橋さんは「通勤時間0分」。マムハウス1階にある洗濯代行店「WASH&FOLD」に正社員として勤務する。店長は、マムハウスオーナーの加藤久明さん(47)。加藤さんは「洗濯は“ママ”なら誰でもやっている。すぐスキルを生かせる仕事」と職住接近のメリットを強調する。

 母子家庭専用のシェアハウス建設に、職住接近の働く場の提供…。ニュースで母子家庭の貧困問題を知り、「暮らしと仕事をセットで解決するために何かできないか」と考えて加藤さんが導き出した答え。所有していた駐車場をつぶし、3階建てマンションを建てて、2016年10月にオープンした。

 2~3階は約20平方メートルの個室が18戸、共有の居間がそれぞれ1室。1階には洗濯代行店、病児保育室を抱える保育園も入っている。ベッドなど家具付きで、風呂やトイレは個室にある。家賃は月4万9千円からと決して格安ではないが、保証人不要。「今までスーツケース一つで入居した人もいる」という。

 高橋さんは、千葉県外からの転入者。母子2人の生活に不安を抱いていたところマムハウスの存在を知り、宮城県から移ってきた。「娘と2人きりだと息詰まるが、同じ立場のママ友が近くにいて助かる」と、安心して働きながら子育てする。

 シングルマザーが喜ぶのは、オーナー加藤さんの面倒見の良さにもある。入居希望者には生活面での悩みや、仕事の状況などを詳しく聞き、入居が決まり次第、仕事や保育園探しもサポートする。現在入居する13世帯のうち、4人の母親の勤務先は、洗濯代行店だ。

 居心地は良さそうだが、入居できるのは原則子どもの小学校卒業まで。子育てに手が掛かる時期に安心して働ける環境をつくり、自立も促す。「入居期限を設け、その間に仕事のスキルを上げるなど目標を達成してもらう。マムハウスは自立を支援する場所」という。

 高橋さんは、身近な場所で生活するママ友との何気ないおしゃべりに、子育てや家事、仕事の悩みで、解消のヒントを見いだす。今日もまな娘を保育園に送り出し、マムハウス1階で無心で洗濯物をきれいにしながら…。


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