次世代に飛躍する千葉時代の幕開け 【新春放談2018】(下)

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2016年に開催された「ちばアクアラインマラソン」(写真=千葉県提供)
「輝く女性の活躍を加速するちばのリーダーの会」発足式(千葉銀行)
スカイライナー2500万人達成記念式典(京成電鉄)

 2018年の幕開けに今年の千葉県の展望を語り合う「新春放談」。今回は「次世代への飛躍~光り輝く千葉を目指して~」をテーマに、森田健作知事や佐久間英利千葉銀行頭取、小林敏也京成電鉄社長が、2020年の東京オリンピック・パラリンピック(オリ・パラ)の準備やチバニアン(千葉時代)の吉報に沸く千葉県のさらなる躍進へ意見を交わした。

出席者
森田 健作氏 千葉県知事
佐久間 英利氏 千葉銀行取締役頭取・千葉県経済同友会代表幹事
小林 敏也氏 京成電鉄代表取締役社長

司会
萩原 博 千葉日報社代表取締役社長

アシスタント
長谷部真奈見

◆千葉の未来を担う子どもの育成

 萩原 県民からの強い要望として子育て環境の向上が挙げられますが、県ではどのような取り組みを進めているのでしょうか。

 森田 待機児童は早期に解消しなければなりません。県では民間保育所や認定こども園の整備を進めています。また、保育士の確保・定着対策として、給与面を改善するため、補助制度を創設しました。市町村と連携し、保育士1人につき月額2万円を基準に助成を行うなど、人材確保と保育の質の向上に努めています。
 また、いじめや不登校など、支援を必要とする児童生徒や家庭に対する相談支援体制を充実させていきます。子供たちには、解決できない困難に出会ったときには、遠慮なく大人に相談してほしいと思います。
 今後も学校、家庭、地域、そして企業とも一体となって、子どもたちを育んでいきたいと思います。

 萩原 千葉銀行も次世代を担う子どもの育成、あるいは職員のワーク・ライフ・バランスの向上に向けた取り組みを行っているそうですが、具体的にお聞かせください。

 佐久間 当行では「みらいはぐくみ債」という商品を取り扱っています。私募債の発行にあたり、当行が発行企業からいただく引受手数料の一部で、教育関連の物品を発行企業名で学校などに寄贈する仕組みで、昨年9月末で271件、272億円の取り扱いがありました。寄贈額も約3600万円となり、お客さまの母校やご関係のある学校などの教育環境の充実に貢献できる商品となっています。

 また、「ひとの未来を育む」金融教育にも力を入れています。学校や自治体、異業種企業向けに職場体験の受け入れや出張授業を行っているほか、高校生が金融経済に関する知識を競う「エコノミクス甲子園」千葉大会を毎年、千葉興業銀行と共催しています。

 当行職員のワーク・ライフ・バランスについては、子育て世帯も含め働きやすく、働きがいのある職場環境の整備を進めています。千葉工業大学と共同で、事業所内保育所「千葉工大ひまわり保育園」を設置していますが、今後さらに他地域への拡充を考えています。他に職員の時短勤務や、場所や時間に捉われない働き方「テレワーク」の試行も始めています。ひとつの成果として、男性職員の育児休業取得率は昨年度63・5%と、2014年度の14・3%から大きく上昇しています。

 また地域での障がい者雇用を促進するため、2006年に設立した「ちばぎんハートフル株式会社」は、昨年4月に業務開始10周年を迎えることができました。設立当初7人だった障がいのある社員が28人に増えました。これからもできる限り毎年新規の採用を続けていきたいと考えています。

 萩原 京成電鉄では、積極的に子どもたちとの関わりを持っているとうかがっています。

 小林 夏休みに職業体験型学習プログラム「京成きっずアカデミー」を開催しています。小学生とその保護者に京成グループのさまざまな仕事を体験していただくことで、将来の京成ファンを増やす取り組みです。秋には沿線各地で親子に楽しんでいただけるお客さま感謝イベントを開催しています。

 他にも社員が沿線の小学校を訪問する「電車安全教室」や、小学生が制服姿で駅業務を体験しながら、交通安全運動をPRしてもらう「一日駅長」の取り組みを実施しています。

 子育て支援策としては鉄道高架下など、駅に近い利便性の高い場所に保育施設を誘致し、グループで県下に8カ所開設しています。今後も子育て世代が住みやすい環境を整備し、魅力ある沿線づくりを展開してまいります。

◆経済活性化と交流基盤整備

 萩原 千葉のポテンシャルを生かした経済の活性化と交流基盤の整備についてご紹介ください。

 森田 県ではオリ・パラ8競技の開催が決定し、国内外から多くの観光客が訪れることが予想されますが、受け入れ側の「おもてなし」がしっかりしていないと一過性で終わってしまいます。

 特に、きれいなトイレは不可欠であることを、私は就任以来、ずっと言い続け、実際に取り組んで来ました。現在、事業費の四分の三、最大500万円まで助成を行っていますので事業者の皆さんにはぜひ、トイレをどんどんきれいにしていただきたいと思います。

 また、外国語観光ボランティアガイドの育成、観光案内所などの設置や改修、観光案内板の多言語化も進めています。

 第1次産業が盛んな千葉県は農林水産物が大変豊富です。今年も2月にタイでトップセールスを行ってきますが、これからも国内外へ千葉の魅力を発信してまいります。

 千葉県は空の玄関口でもあります。成田空港については第三滑走路の整備を含むさらなる機能強化の検討が進められています。県としても、地域の皆さんのご意見を真摯(しんし)にお聞きするとともに、関係機関と連携して、空港周辺の地域づくりにしっかりと取り組んでいきます。

 女性の活躍に向けた環境づくりも必要です。佐久間頭取とは昨年6月に「輝く女性の活躍を加速するちばのリーダーの会」を一緒に立ち上げました。今後とも、オール千葉で取り組みを進めます。

 萩原 千葉銀行では経済の活性化や女性の活躍推進に実績をお持ちですが、現在はどのような形で取り組んでいますか。

 佐久間 地方銀行界には、当行が主導して創設した「地銀人材バンク」という制度があります。この制度は地方銀行の職員が、配偶者の転勤などで転居により退職する際、希望すれば転居先の地方銀行に再就職してキャリアを継続できる仕組みで、運用開始から約2年半で120人を超える女性職員が全国で転職を果たしています。

 行内においては女性管理職の積極登用を進め、役員3名を含む118人の女性管理職が活躍しています。管理職の女性比率は11・4%で、2020年度にはこの比率を20%にするため努力を続けています。

 地域経済の活性化への貢献という面では、地方創生に関連した投融資を積極的に行っています。特に古民家を地域の観光資源に育てていく取り組みを強化しています。大多喜町での融資事例では、築200年を超える古民家を宿泊施設として再生しました。他にも銚子市のまちおこしは、廃校をスポーツ合宿所として活用し、野球のまち復活を期す先進的な取り組みです。こうした地域活性化の事例を積み上げ、自治体が進める地方創生施策が着実に結実するよう、グループの力を結集して支援していきます。

 萩原 京成電鉄の取り組みをお聞かせください。

 小林 鉄道はかつては男性ばかりの職場でしたが、近年は女性も増えています。「女性車掌のアナウンスは丁寧で聞き取りやすい」とお客さまからもご好評をいただいています。より多くの女性が快適に働けるよう、施設や制度などの整備を進めています。

 また地域経済の活性化という観点では、グループのバス会社において、高速バスで鮮魚などを運ぶ「貨客混載」の取り組みを実施しています。例えば南房総市で当日水揚げされ、貨客混載で運んだ鮮魚は千葉中央駅前の京成ホテルミラマーレでも「千産千消」できますので、ぜひご堪能ください。

◆今後の展望と2018年の抱負

オリ・パラ開催効果県内全域に 森田
IT・デジタル化投資積極的に 佐久間
オール千葉の一員として貢献小 林

 長谷部 2018年の抱負を含めた今後の展望をお聞かせください。

 佐久間 長引くマイナス金利の影響や中長期的な人口減少による地域経済の縮小など、地方銀行を取り巻く環境は今後さらに厳しくなっていくものと予想されます。そのため、当行ではIT・デジタル化投資を積極的に行うほか、次世代営業店モデルの導入や働き方改革などあらゆる面で抜本的な業務改革に取り組み、より生産性を高めていきます。そして、お客さまと向き合う時間を増やし、これまで以上に付加価値の高いサービスを提供してまいります。さらに、持続可能なビジネスモデルを確立していくために、他行とのアライアンス戦略を深化させていく考えです。

 当行は昨年、築44年が経過した本部棟の建て替えを行う方針を決定しました。建て替えにあたり、大規模災害を想定したBCP(業務継続体制)の強化を図るとともに、新本部棟を地域のお客さまとの交流拠点としても活用していく考えです。

 徹底した業務の効率化による高い生産性を実現し、先進的で利便性の高いサービスを提供し続けていくことで、いつの時代でも地域のお客さまに選ばれる銀行を目指してまいります。

 小林 京成グループは引き続き「安全・安心」の取り組みを進めてまいります。

 安全対策では、日暮里駅に当社初のホームドアを設置予定です。さらに成田空港駅と空港第2ビル駅も早期設置に向け、関係者と協議を進めます。

 安心の取り組みでは、お客さまトイレのリニューアル、多言語表示など訪日外国人旅客の受け入れ態勢強化や、スカイライナー車両における車椅子スペースの増設などに取り組んでまいります。

 また不動産賃貸事業を拡大し、鉄道高架下やグループ保有資産を有効活用することで、地域のにぎわいに貢献していきたいと思っています。

 市川市に本社を移して4年、「千葉県の企業」としていま感じているのは、いよいよ本格的に千葉の時代が来たということ。インバウンドの増加や東京オリ・パラの開催は大きなチャンスです。選手、大会関係者、観客の輸送などにグループを挙げて、「オール千葉」の一員として貢献してまいります。

 京成グループとしては引き続き、県民の皆さまの足として、鉄道・バス・タクシーの安全性・利便性・快適性をより向上させるほか、沿線開発の拡充などを進め、暮らしやすく魅力的な住環境を整備し、千葉県の発展に貢献していきたいと考えています。

 森田 本年は「ちばアクアラインマラソン2018」が開催されます。4回目となる今回はチームごとにタイムを競い合える団体戦、チーバくんを活用した大会公式アプリ導入など、さまざまな形で盛り上げてまいります。

 千葉はポテンシャルに優れた県。オリ・パラに向けての盛り上がりを、一過性に終わらすことなく、大会の開催効果を県内全域に波及させていきたいと思います。

 個々の力は小さくとも、それが一致団結した時に大きな力になります。まさしく「チーム千葉」で頑張っていこうという思いを、新たにしました。