「ミスター」の原点ともいえる対戦が、故郷で再現される。昨年6月3日に89歳で亡くなった長嶋茂雄さんの一周忌に合わせ、出身地の佐倉市にある長嶋茂雄記念岩名球場で6日、長嶋さんの母校である佐倉高と、長嶋さんが高校3年夏に対戦して高校での公式戦唯一のホームランを打った埼玉県立熊谷高が追悼親善試合を行う。後輩にあたる佐倉高野球部の選手や関係者は「天国の長嶋さんに思いを届けたい」と心待ちにしている。
臼井町(現佐倉市)出身の長嶋さんは、佐倉一高(現佐倉高)の高校3年生だった1953年8月1日、埼玉県営大宮公園野球場で行われた南関東大会の熊谷高戦でホームランを放った。このバックスクリーンへの本塁打で、長嶋さんの名は知れ渡り、スカウトの間でも話題になったという。
佐倉高野球部の奥村武広監督(63)は長嶋さんについて「本当に偉大な存在」と語り、「偉大な先輩の足跡(そくせき)の場所にいて野球ができることを自分も感じていたし、今の子たちにも理解して野球をしてほしいと思っている」とかみしめるように話す。
主催団体である同部OB・OG会の理事でもある奥村監督によると、昨年の夏休みごろに同会の中で、長嶋さんの追悼試合を行うアイデアが出た。一周忌がある今年6月に行おうと対戦相手を探す中、長嶋さんが高校3年夏に対戦した熊谷高が候補に。奥村監督は「(熊谷高とは)全然面識がなかった」というが電話をして依頼し、73年前の一戦が再現されることになった。
奥村監督が佐倉高の3年生だった80年は長嶋さんが巨人で1度目の監督を退任した年で、同年秋に長嶋さんは同校へあいさつに訪れた。その際、すでに部を引退していた3年生も合わせた野球部のメンバーが集められ、長嶋さんが激励してくれたという。長嶋さんは母校のグラウンドにバックネットを寄贈するなど後輩を長年、支えていた。奥村監督は「オーラがすごかった」と懐かしそうに笑う。
「ミスタープロ野球」と呼ばれた偉大な先輩は現役時代、はつらつとしたプレーで日本中を沸かせた。佐倉高野球部主将の筒井伶介さん(17)は「長嶋さんのようなプレーをして、天国の長嶋さんに思いを届けたい」と語り、「一生懸命プレーすることが一番、長嶋さんに届くことかなと。そういうところを頑張りたい」と意気込む。
佐倉高野球部OB・OG会の加賀谷均会長(69)は高校時代に長嶋さんと対面した時のことを「光り輝いていた。オーラが見えた」と振り返り、追悼親善試合に参加する選手たちに向けて「全力でプレーしてほしい」。長嶋さんのような、グラウンドでの元気な姿に期待した。
追悼親善試合は6日午前10時から2戦を行う予定で、試合前には長嶋さんをしのぶセレモニーを実施する。
(森大輔、柏和真)









