晩春の民家 柱にもたれた遠い日 絵・文 道塚元嘉 【民家の四季】

 晩春の大地にいち早く頭をもたげるタケノコはモウソウチクの子。土のぬくもりから目を覚ますように姿を現したところを掘って食用にする。戦時中の幼い時分からかやぶき屋根の農家で育ったせいか、土間の上手にあった暗い板の間の台所で食したたけのこ飯はおいしかった。今でも忘れられない郷愁になって、心に深く残っている。

 たおやかなかやぶき屋根が、夕間暮の一時、あたりに香気を放って浮かび上がる晩春の民家。その屋根の下で曲り木が漆黒の闇にたくみに舞う梁(はり)組。そんな力強い小屋梁を見上げて土間に入った途端、静かな安堵(あんど)感を覚えることがある。おそらく多様性に富んだ農家の土間に、四季 ・・・

【残り 1300文字】



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