2020夏季千葉県高等学校野球大会

未来都市支える「神秘」 幕張新都心のオブジェ(千葉市美浜区)【千葉まちなかアート】

青が鮮烈な「VESSEL」。右奥に赤い「たそがれのオベリスク」が見える
青が鮮烈な「VESSEL」。右奥に赤い「たそがれのオベリスク」が見える
天高くそびえる剣持和夫「無題」は、駅から街に降り立つ人たちを出迎える
天高くそびえる剣持和夫「無題」は、駅から街に降り立つ人たちを出迎える

 高層ビルが林立する「未来都市」、幕張新都心(千葉市美浜区)。整然と区画整理されたオフィス街は無機的で、近頃は新型コロナ禍で人通りが少ないこともあり、まるでSFの舞台のような非日常感に包まれている。街に点在する全17体のオブジェがまた謎めいていて、街の不思議な雰囲気を一層引き立てる。

 JR海浜幕張駅北口を降り、すぐ目に飛び込んでくるのは高々とそそり立つ鋼製の「無題」(剣持和夫作)。1989年に幕張で開かれた「鉄の彫刻」展の出展作品で、街のビル群を象徴する高峰のようにも、天に向かって成長する植物のようにも見える。

 空中デッキに向き合って配置された2点の対作品「あうん」(渡辺紳二、市川暁作)は、幾何学的な形状で街の風景に溶け込む。ともに「ハ」の字を形づくるが、一方は逆さまの形で、互いの違いを補いながら共存するかのようだ。

 メッセ敷地内にあるフィリップ・キング「たそがれのオベリスク」は赤色、ロバート・オーン「VESSEL」は青色が鮮烈で、灰色の街に突如現れる原色が異彩を放つ。

 それにしても、今ここに存在する街なのに「未来」都市とは一見、矛盾をはらむ。が、街のオブジェをつぶさに観察すると、それらが醸す非日常感が、未来という形容にある種の説得力を与えているようにも見える。アートの神秘が「マクハリ」を支える一助になっている、と言っても言い過ぎではないだろう。

(平口亜土)


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