幕張新駅、実現まで30年 一度立ち消え…紆余曲折の歴史 公募駅名の参考に(後編)【急上昇ニュースのウラ】

長らく広大な空き地だった拡大地区。遠くにコストコがぽつんと建つのが見える(2009年10月)
長らく広大な空き地だった拡大地区。遠くにコストコがぽつんと建つのが見える(2009年10月)

 JR東日本が今月30日まで受け付けている2023年春開業予定の京葉線「幕張新駅(仮称)」(千葉市美浜区)の駅名公募。多くの人が駅名を考える参考にしてもらおうと、千葉日報デジタル編集部は新駅周辺を歩き、地域の魅力を探りました。

イオンモールだけじゃない? 幕張新駅、周辺の魅力探る 公募駅名の参考に(前編)

 後編では、30年前からあった新駅構想とその舞台である「幕張新都心拡大地区」のたどった紆余曲折の歴史を振り返るとともに、そのほかの命名の参考になりそうな情報をまとめてみました。

 幕張新駅が設置される「幕張新都心拡大地区」は、街開きから20年以上も広大な空き地が広がっていたのをご存じでしょうか? 拡大地区の閑散とした様子を伝える写真は、2009年10月に千葉日報社が撮影したもの。同地区の開発が進んだのは、実はここ10年ほどのことです。

 複雑な経緯をたどってきた幕張新都心拡大地区と、幕張新駅構想の歴史を振り返ってみましょう。

◆バブル崩壊の影響もろに…
幕張の浜(1970年ごろ、千葉市ホームページより)
幕張の浜(1970年ごろ、千葉市ホームページより)

 稲毛海岸や検見川浜地区と同様、幕張新都心もかつては遠浅の海が広がっていた土地。1980年に幕張地区の埋め立て工事が完了後、駅や公園などが徐々に整備されていきました。

 幕張新都心が街開きしたのは、幕張メッセがオープンした89年。

 新駅構想は、その2年後の91年、幕張新都心の開発を手掛けた旧千葉県企業庁がJR東日本に設置を要請したことから始まります。

 JR東は了承の条件に、用地確保や設置費用の全額負担を前提とした新駅設置促進期成同盟の設立を挙げました。それを受け、94年に期成同盟の「準備会」が発足しましたが、新駅予定地のある「拡大地区」の開発見通しが立たず、98年から休眠状態となっていました。

浜田川より西側が拡大地区(「幕張新都心オフィシャルガイド2021」より)
浜田川より西側が拡大地区(「幕張新都心オフィシャルガイド2021」より)

 なお、幕張新都心は住宅地区や公園地区などを除くと、海浜幕張駅周辺の「中心地区」と、浜田川より西側の「拡大地区」に大別されます。拡大地区は、中心地区の土地の売れ行きが好調だったことから、後に新都心に「編入」された地域。そのため、幕張メッセやマリンスタジアム、高層オフィスビルが集積するなど好況を背景に先に開発が進んだ中心地区とは異なり、拡大地区はバブル崩壊の影響をもろに受けてしまいました。

 コストコなどの商業施設がわずかに立地したぐらいで、大半の土地は企業立地が進まず、街開きから20年以上も広大な空き地が広がっていたのです。

◆転機はイオンモール進出

大勢の報道関係者で賑わったイオンモール幕張新都心の内覧会(2013年12月)
大勢の報道関係者で賑わったイオンモール幕張新都心の内覧会(2013年12月)

 転機となったのは、2013年12月のイオンモール幕張新都心のオープン。日本を代表する流通大手イオンは自社の威信をかけ、本社のある”お膝元”に旗艦店となる巨大SCを造りあげました。これを機に拡大地区の開発が一気に進み、一度立ち消えになった新駅構想が息を吹き返したのです。

 15年に新駅設置調査会、17年に設置協議会が発足し、県、市、イオンモールが新駅設置に向けて話し合いを進めてきました。

 そして18年に約115億円に上る駅舎の費用負担をイオンモール2分の1、県、市、JR東が各6分の1の割合とすることで合意し、協議会とJR東は基本協定を締結。20年5月に着工され、新駅はようやく実現の運びとなりました。

◆「幕張」の名は既に5駅

 このほか、駅名を考案する上で参考となりそうな情報をまとめます。

 新駅の住所は千葉市美浜区の「浜田」ですが、出入口が作られる南側のエリアは同区の「豊砂」です。さくら広場のある習志野市側は「芝園」。駅北側は「浜田」となっています。

幕張新駅の駅舎外観イメージ(C)JR東日本千葉支社
幕張新駅の駅舎外観イメージ(C)JR東日本千葉支社

 JR東が掲げる駅舎のコンセプトは「ゆったりとした時間が流れる新しい駅」。明るく開放的なつくりで、幅広い世代が集まる公園、というイメージだそうです。

 命名の上では、「幕張」と名が付く既存駅の存在も見逃せません。京葉線の「海浜幕張」をはじめ、JR総武線には「幕張」と「幕張本郷」、京成線には「京成幕張」と「京成幕張本郷」があり、既に5駅もあります。

 なお、幕張新都心の中核施設、幕張メッセまでは新駅から徒歩15~20分ほど。少々歩きますが、人気イベントの開催時には海浜幕張駅が大混雑しますので、人混みを避けるのに新駅を利用するのもいいかもしれません。

◆さまざまな機能・魅力集まる

 立地の近さや規模、歴史…どれを見ても、新駅にとってイオンモールの存在感は大きいと言えます。が、駅周辺にはそれ以外にも、さまざまな機能・魅力を有する場所が集まっていることが分かります。

 いずれにせよ、熊谷俊人知事も望んだように「多くの方々が納得するような駅名」になるよう願うばかりです。関心を持った方は是非、「これぞ」という駅名を応募して、今秋の発表を楽しみに待ちましょう。

(デジタル編集部)


  • LINEで送る