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ビクターエンタテインメント、北九州市と“地域特化型レーベル”始動 100周年見据え「STEELING SOUND」創設

(左より)ビクターエンタテインメント 代表取締役社長 小野朗氏、北九州市長 竹内和久氏

 ビクターエンタテインメントは来年迎える創立100周年を記念し、メジャーレコード会社初となる「地域特化型レコードレーベル」プロジェクトを始動した。第1弾として、福岡県北九州市とタッグを組んだ新レーベル「STEELING SOUND(スティーリングサウンド)」を創設。5月28日に北九州市役所で共同記者会見を行い、同社代表取締役社長・小野朗氏と竹内和久北九州市長が、「クリエイティブ人材の育成支援およびエンターテインメントを活用したコミュニティ創出」を目的とする連携協定を締結した。

【写真】小野朗社長が登壇 ビクター×北九州市 共同記者会見の模様

 同社は100周年に向け、「Good Music, Good Culture ――エンタテインメントの力で時代を切り拓き、文化と社会に貢献する――」を新たなグループ理念として掲げている。今回の取り組みは、その理念を具体化する“地域ブランディング戦略”として位置づけられるもの。地域社会や行政、地元企業などと連携しながら、「才能の発掘」「育成」「発信」を一体で行う新たな音楽エコシステムの構築を目指す。

 小野社長は「ソーシャルメディアやデジタルの進化で、東京に出なくても世界中に音楽を発信できる時代になりました。一方でその分、音楽が均質化しているのではないかという問題意識があります。地域のリアルなコミュニティと向き合い、音楽の力で継続的にエコシステムを作っていくこと――それが、私たちが次の100年に向けて挑戦すべきことだと考えています」と語った。

 地方創生とエンターテインメントを結びつける際には、大型施設など“箱物”に注目が集まりがちだが、同社が重視するのはコミュニティ形成だという。継続的に人や意識が集まり、新たな表現や交流が生まれる“ソフト面”の循環づくりを目指す。

 プロジェクトの背景には、シーナ&ロケッツやUP-BEATなどを生んだ北九州のロックカルチャーへの共感もあった。プロジェクトメンバーに北九州出身者が多く、現地との対話を重ねる中で、「ここでこそできることがある」という確信が深まったという。

 竹内市長は、「これまでは『才能があるなら東京へ』という流れが当たり前でしたが、私はこの既成概念を壊したいと思っています。地方だからこそできる、地方からのポテンシャルに期待しています。北九州市を、音楽を"聴く街"から"発信する街"へ――この街から全国へというサイクルを創っていきたい。今回の挑戦は、まさにその象徴です。本市としても、クリエーターが挑戦しやすい都市づくりに全力を尽くしてまいります」とコメント。地方から新たなカルチャーを生み出すことへの期待を語った。

 レーベル名「STEELING SOUND」には、“鉄の街”として発展してきた北九州市とビクターエンタテインメントが融合(溶接)し、さらに研ぎ澄まされたカルチャーを発信していくという意志が込められている。「世界はまだこの街の音を知らない。この街の音を作って、世界中に知らせたい」と小野社長は意気込みを語った。

 また、「STEELING SOUND」は、従来型の“メジャーデビュー至上主義”とも一線を画す。「音楽を本気でやることと、東京に行くことはイコールではない」とし、北九州で生活しながら音楽活動を続けるミュージシャンを支援していく考えだ。

 記者から「プロデビューを量産するのか、コミュニティ作りを重視するのか」と問われると、小野社長は「どちらかといえば後者に近い。コミュニティ作りが先にある」と説明。収益面についても、「まずはエコシステム構築を優先する。2〜3年で結果が出ないからといってすぐ撤退、ということはしたくない」と長期的な姿勢を示した。

 また、「STEELING SOUND」では5月28日よりオーディションも開始。一次締切は6月30日で、その後も継続的に募集を行うとしている。

 募集は「ミュージシャン部門」と「クリエーター部門」の2部門。ミュージシャン部門ではオリジナル楽曲を対象とし、クリエーター部門では、「STEELING SOUND」のロゴマーク作品を募集しており、音楽だけでなく、デザイン領域を含めた地域クリエーターの発掘・育成も目指す。"