女の中に男が一人

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 正月……。

 人が見たらばアホだと思うだろうが、年明けが近くなると、老人はだれもいない部屋の壁に向かって、もう幾つ寝るとお正月、と歌っている。

 子どものころには歌わなかった歌を、なぜこの年になってくちずさんでいるのかわからないが、歌の徒然に、ふと、年下の女の子といっしょにいる昔日が見えてきたりする。

 幼年時代に、女の子とママゴトをやった覚えがあるが、少年時代は、野遊び、川遊び、陣取り、かくれんぼ、メンコ、ベイゴマと、たいていは男の子との遊びだった。

 後日談だが、ベイゴマの名のいわれについて調べた。最初、バイ貝(巻き貝)の殻の中に、溶かした鉛を注ぎ込んでつくったバイゴマが、転じてベイゴマになったという。

 男の子同士で遊ぶことがふつうだった私だが、なぜか正月は女の子の仲間になる。

 女の中は気分も高揚するが、何かにつけて顔面が赤くなる。実は対女性に限らず、私は羞恥心が強く、やがて「赤面恐怖症」と診断される。だが対女性には憧れも持っていた。

 正月になると、小学六年生の女の子が二、三人で、私の村まで自転車に乗って遊びに来た。私の家の横手に、少女らのクラスメイトが住んでいて、隣村から訪ねて来ると、自然と私も仲間に入った。

 遠征組の一人、節子さんという名の少女が好きだった。節子さんは学芸会で「杜子春」の役を演じた。少年に扮した節子さんはかわいらしかった。

 私の淡い思いを、少女が知ってか知らずか、既に半世紀以上が過ぎている。夢幻。

 中学一年生の少女らも、同級生の初江さんを訪ねて集まった。私が中二だったので、一年下ということ。...