いすみで白い伊勢エビ水揚げ アルビノではなく、研究員「ここまで白いのは見たことない」 勝浦「海の博物館」で飼育展示

千葉県立中央博物館分館「海の博物館」の水槽で飼育観察する白い伊勢エビ。8月29日にいすみ市・大原漁港で水揚げされた=勝浦市
千葉県立中央博物館分館「海の博物館」の水槽で飼育観察する白い伊勢エビ。8月29日にいすみ市・大原漁港で水揚げされた=勝浦市
いすみ市の大原漁港で水揚げされた白い伊勢エビ。海の博物館で飼育観察されている=8月29日、勝浦市
いすみ市の大原漁港で水揚げされた白い伊勢エビ。海の博物館で飼育観察されている=8月29日、勝浦市
水揚げされたケブカイセエビ。目と目の間がオレンジ色と水色になっている=29日、勝浦市
水揚げされたケブカイセエビ。目と目の間がオレンジ色と水色になっている=29日、勝浦市

 いすみ市近海が伊勢エビの好漁場で、全国トップクラスの漁獲量を誇る大原漁港で、珍しい“白い伊勢エビ”が水揚げされた。展示のため譲り受けた千葉県立中央博物館分館「海の博物館」(勝浦市)の担当者は「ここまで白い伊勢エビは見たことない。学術的にも聞いたことがない」と驚きを隠せない。白いエビは、同館入り口の導入路沿いにある資料室内の水槽で飼育されており、屋外の通路からガラス越しに誰でも見ることができる。

(馬場秀幸)

 白い伊勢エビ(全長約17センチ)は8月29日朝、夷隅東部漁協に所属する漁船「年丸」(1・9トン、荘司秀吉船長)によって水揚げされた。28~29日未明に大原漁港の北北東約800メートルのエリアに仕掛けた網を引き揚げ、豊漁だったため家族総出で伊勢エビを取り外す作業を行っていた際、妻の絵実さん(57)が網にかかった白っぽいエビを見つけたという。

 「夜明け前で薄暗かったが、脚がピンク色で体の白い、面白いエビがいるなと思った」と絵実さん。漁協の荷さばき所に持って行くと、すぐに話題になった。すると、長男の大輝さん(26)も網にかかっていた目と目の間がオレンジ色と水色で、腹部の蛇腹部分に毛が生えているエビを漁かごから取り出した。調べると、熱帯の海域で生息しているケブカイセエビ(全長約25センチ)だと分かった。

 2種類の珍しい伊勢エビが同日の同じ漁船の刺し網漁にかかっていたことも驚きだが、絵美さんによると、年丸では約30年前にも、体に白い斑点模様のあるカノコイセエビを水揚げしたことがあるという。

 甲殻類が専門の同館主任上席研究員の奥野淳兒さん(56)は「これまでに紫の色味が強かったり、濃淡のはっきりした伊勢エビを見たことはあったが、ここまで薄い色は個人的に初めて」だという。

 一般的に白い個体が見つかると、生まれつき体の色素が欠乏している「アルビノ」とされることが多いが、奥野さんは「目が赤くなく、黒いためアルビノではない。色は薄いが体に模様、脚には線がある」と説明する。その上で「餌なのか、水深とか環境が白くなった原因なのか分からない。しばらく飼育して経過を観察したい」と話した。

 ケブカイセエビについては「一般的に沖縄辺りに生息する。鴨川市で捕獲されたのは知っているが、そこより以北のいすみ市内では初めて。御宿町でも聞いたことがない。千葉県でここまで大きなサイズは見たことがない」と興奮気味に語った。


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