「今さら」なんて言うまいぞ!! はじめの一歩 【鳥光宏の旅と文学】(1)

旅の空から出会った富士山の絶景
旅の空から出会った富士山の絶景
鳥光宏氏
鳥光宏氏

 読者の皆様、お久しぶりでございます。小説「おばーのゲルニカ」で、第63回千葉文学賞・大賞をいただき、引き続き「古典楽語」というタイトルでエッセー執筆をおまかせいただいておりました。このたびは新企画として「鳥光 宏の『旅と文学』」と題するエッセー執筆のご依頼をいただきました。

 「月日は百代の過客にして、行き交ふ年もまた旅人なり」。これは、松尾芭蕉の紀行文「奥の細道」の序文です。簡単に解釈してみると「月日というものは、終わりなき旅をする旅人のようなものであり、過ぎ去ってはまたやって来る、そんな年月というものも、また旅人のようなものである」といった内容になります。

 彼は、自然を愛し、人を愛し、そして旅を愛した中国唐代の漢詩人である李白に憧れを持っていたと言われています。そんな芭蕉は、自分の寿命を察知していたかのように、およそ150日に渡るこの「奥の細道」の旅に出てから5年後に、51歳で亡くなっています。私はこの序文を詠み、芭蕉の人生に思いを馳せながら「もしかしたら、彼は人生最 ・・・

【残り 598文字】



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