ちばの選挙

<森田知事4選不出馬>五輪誘致「千葉に風」、アクア値下げ活性化 被災地からは厳しい声も

房総半島台風で甚大な被害を受けた鋸南町を視察する森田知事=9月4日
房総半島台風で甚大な被害を受けた鋸南町を視察する森田知事=9月4日
東京五輪サーフィン会場の一宮町・釣ケ崎海岸を視察する森田健作知事。写真右は東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長=2017年6月7日
東京五輪サーフィン会場の一宮町・釣ケ崎海岸を視察する森田健作知事。写真右は東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長=2017年6月7日

 森田健作知事(70)が12日、来春の知事選への出馬を見送り今期限りでの退任を表明した。東京湾アクアラインの通行料値下げや東京五輪・パラリンピックの競技会場誘致などに取り組み、3期12年にわたり千葉の知名度向上や地域活性化に貢献した。県民からは「森田さんが風を起こしてくれた」と実績を評価する声が上がる一方、昨秋の台風の爪痕が残る被災地では、災害対応を巡り「危機管理能力のなさが見えた」と厳しい見方をする人もいた。

 2016年12月、九十九里浜南端にある一宮町の釣ケ崎海岸が東京五輪のサーフィン会場に決定した。森田知事は15年11月、五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長と会談し、県内でのサーフィン開催を要望していた。

 「森田さんが風を起こしてくれた」。こう話したのは、会場招致活動を主導した元町長の玉川孫一郎さん(74)。「小さな町の首長では直接、国や組織委に働き掛けるのは難しいが、知事が先頭に立って早めに動いてくれた」と振り返る。

 釣ケ崎海岸周辺の地価は上昇し、新たな宿泊施設の開業に住宅建設も続いた。悲願だったJR上総一ノ宮駅東口の開設も「県が費用負担してくれたのも大きかった」といい「スポーツ、サーフィンに理解がある人。移住者が増えるなど、五輪効果は既に出ている」と感謝した。

 09年の初当選後、まず手掛けたのが東京湾アクアラインの通行料値下げだった。交通量は飛躍的に増え、木更津市観光協会の野口義信会長(75)は「値下げ前は車で走っていても、はるか後ろに1、2台見える状況だった。料金が安くなった今は土・日曜に渋滞が起きる」と説明する。

 県南部への観光客誘致にもつながり、野口会長は「南房総全体が便利になり、観光地として対岸からたくさんの人が気軽に訪れる場所になった」と目を細める。木更津市では人口も増加しており、次期知事にも「値下げ継続と恒久化を進めてほしい」と期待した。

 昨年9月の房総半島台風(台風15号)の対応を巡っては、批判を受けた森田知事。甚大な被害が出た鋸南町では、今も修理ができない住宅が多く残っている。自宅が被災した堀内勇治さん(52)は「15号の時はすぐに災害対策本部を設置せず、自分の別荘を見に行ったりと、危機管理能力のなさが見えた。いい仕事をしたとは思えない」と指摘する。

 町内では過疎化も進んでいるといい「近隣の岩井袋地区は転出した人が多く、空き地だらけ。更地になった場所を見るとさみしい」と話す。森田知事の後任には「過去の失敗を検証し、しっかりとした災害対応マニュアルをつくってほしい」と要望した。


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