<まん延防止>どうなる"津田沼問題" 習志野と船橋で時短に明暗 飲食店戸惑い

船橋市と習志野市の市境が通るJR津田沼駅前=16日午後、同駅前
船橋市と習志野市の市境が通るJR津田沼駅前=16日午後、同駅前
JR津田沼駅周辺の飲食店時短要請エリア
JR津田沼駅周辺の飲食店時短要請エリア

 市川、船橋、松戸、柏、浦安5市への適用が16日決まった「まん延防止等重点措置」。船橋市と習志野市の市境にあるJR津田沼駅周辺の繁華街は同じ地域にもかかわらず、行政区域によって飲食店の時短要請が午後8時と同9時で分かれる。閉店が午後8時になる船橋側の飲食店からは繁華街ごとの適用を求める声が上がった一方、遅くまで営業している店を求めて客の流入が予想される習志野側は複雑な心境のようだ。

 市境は津田沼駅を通り、同駅北口の繁華街を二分している。「船橋と習志野で適用対象が分かれることに戸惑っている」と話すのは、船橋市前原商店街の大塚智明会長(47)。同駅北口は、船橋側の前原商店街と習志野側の津田沼一丁目商店街があり、「仲間なのでいがみ合うことはないが、できるなら同じ土俵にしてもらいたかった」と吐露する。

 船橋市側の「そば処 志な乃」店主、速水啓輔さん(57)は「行政単位での線引きは仕方がないが、本音としては繁華街ごとに適用してほしい」と打ち明けた。重点措置に伴うさらなる時短要請に関わらず、そもそもコロナ禍で経営状態は苦しい。「協力金は入ってくるのが遅く、欲しい時にない。あってもすずめの涙程度。感染対策にも金がかかって大変」と実情を訴えた。

 DJバー「Mediterraneo」オーナー、辰野仁さん(43)は「1時間の短縮でも酒の注文が減るため非常に痛手。経営面も苦労があるが、『思いっきり遊びたい』という客の声に応えられないのが一番辛い」と嘆いた。

 一方の習志野側。津田沼一丁目商店街の杉林昇会長(66)は「多くの飲食店は食べ物より飲み物で利益を確保する。人が流れてくることはありがたいのでは」と各店舗の心境を代弁する。居酒屋「立ち呑み いわ鬼」の山崎興店長(51)も「遅くまで開けてる店へ人が流れる」と予測するが、「地域で足並みをそろえるべき。生活のため売り上げが必要な反面、密になるのが怖い」と複雑な心境を明かした。

 習志野側からも、さらなる売り上げ減を懸念する声が上がる。市境の近くにある「中村たばこ店」は、客の多くが向かいのパチンコ屋や周辺の飲食店利用者。店主の中村峰一さん(71)は「時短になれば人がいなくなる」と嘆いた。

 従業員にとっても時短は深刻だ。船橋市内の飲食店でアルバイトする女子大生(20)=同市=は「時短になれば今よりもシフトに入れなくなり、金銭的に苦しい」と顔を曇らせる。

 浦安市から習志野市のヨガスタジオへ通勤している枝光なつ美さん(23)は「津田沼駅周辺は飲み屋が多く、通勤する人が飲食することが多い。重点措置の適用などは賛成だが、人が多いことは変わりないのに、市によって違うのはおかしい」と不満そうだった。

◆「1時間の短縮重い」

 対象地域となる他市の飲食店からも、営業時間の短縮で経営悪化を懸念する声が上がった。JR松戸駅近くの飲食店「ぱすとーる」代表の土屋正明さん(47)は「1時間の短縮は重い。平日では客ゼロも想定される」と嘆いた。

 JR柏駅近くで飲食店「焼とりつかさ」を営む長一江さん(50)は「酒を提供する店にとって1時間の時短は休業要請と同じくらい大きい。ワクチンが行き届くまではこうした状況が続くのかとあきらめ感がある」と肩を落とした。東京に近い流山市などは対象地域とならず、「どう線引きしたのか。納得できない」と不満の声を上げた。

 市川市のJR本八幡駅近くのラーメン店「らーめん木尾田」のオーナー、梶畑尚毅さん(42)は「東京に近いので仕方ないが、(措置で)どれだけ人の思考に影響があるのか分からない」と効果に疑問を抱いた。


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