「分かち合うと足りる」 ディズニー神対応、響いた理由は コロナ禍の今だからこそ【急上昇ニュースのウラ】

コロナ禍で人数制限しながら運営を続ける東京ディズニーランド=2020年10月
コロナ禍で人数制限しながら運営を続ける東京ディズニーランド=2020年10月
震災当時の対応を振り返る田村さん=2020年2月、オリエンタルランド
震災当時の対応を振り返る田村さん=2020年2月、オリエンタルランド

 10年前の東日本大震災の際、「神対応」として称賛された東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市)のキャスト(従業員)の行動に迫った千葉日報とYahoo!ニュースによる連携企画記事(3月8日配信、千葉日報紙面は3月2日付)が、大きな反響を呼びました。特に記事中の「物は奪い合うと足りないが、分かち合うと足りる」という言葉に、多くの読者が反応しました。新型コロナ禍でマスクなどの物資の争奪戦がたびたび起きる昨今、「今だからこそ生きる教訓」と捉える人が多くいたようです。

◆阪神淡路大震災の教訓

 「物は奪い合うと足りないが、分かち合うと足りる」という言葉は、TDRの防災マニュアル作成の担当者だった田村圭司さん(53)が、阪神淡路大震災後に神戸市を訪れた際に学び、感銘を受けた言葉。物資を取りに来てもらうと奪い合いになるが「災害弱者から配る」ときちんと伝えて人の手で配ると混乱は起きないと教わりました。

 そして、東日本大震災でその教訓が生きました。帰宅困難者となった来園者に配った餃子ドッグは人数分に足りませんでしたが、キャストが「お子さまやお年寄りを優先します」と明言してから一人ずつ手渡して回ったところ、「自分たちは大丈夫」「小さな子にあげてください」と譲り合う人が相次ぎ、足りないはずの餃子ドッグが半分以上余りました。

 この言葉について、ネット上では「名言だ」「素晴らしい」といった声が続出し、SNSなどで拡散されました。譲り合いのエピソードには、「感動した」「涙が出た」という声も相次ぎました。

◆「自分勝手より思いやりが大事」

 今は未知のウイルスとの闘いが続く非常事態。ネットの反応をみると、「そんな時代だからこそ、生きる教訓」と捉えた人が大勢いたようです。

 「物は奪い合うと足りないが、分かち合うと足りるって言葉、コロナ禍の今沢山の人に届いて欲しい 自分勝手より思いやりが大事」

 「当時の買い占めしてる人たちにも、コロナでマスクを買い占めた人たちにも、買い占めたものを高額転売する人たちにも届くといい言葉だね」

 「マスク、ティッシュ、食べ物 一人ひとりの心がけで資源、食料はみんなに行き渡る」

 流言によるトイレットペーパーの買い占め騒動や、国際的なワクチン争奪戦に言及する人も。辛い局面では、人はつい自分勝手に行動しがちになってしまいます。そんな時だからこそ思いやりの気持ちが大切、ということを、この言葉から多くの人が改めて感じたのかもしれません。

◆コミュニケーションが生む安心感

 餃子ドッグ配布に関して、田村さんが記者の取材に語ったお話で、もう一つ印象深いポイントがありましたので、ご紹介します。

 それは「一人一人に手渡しで配ることで、来園者とのコミュニケーションが生まれた」ということです。

 本来、物を配布する際は、数カ所に置いて取りに来てもらうのが効率的。温かい食べ物は運んでいるうちに冷めてしまいます。しかし、田村さんはキャストに決してそうはさせませんでした。奪い合いを防ぐためだけでなく、一人一人の元へ届けることで「あなたのことをきちんと見ています」というメッセージを伝え、非常時のさなかでも安心感を持ってもらう狙いがありました。

 実際、パークのあちらこちらで食糧やレインコートなどを配ったキャストたちは、物資を手渡しながら「どこから来られたのですか」など普段通りの声掛けを行うことで、来園者の心を落ち着けていました。ツイッターのコメントの中には「こんな日になってしまいましたが、お誕生日おめでとうございます」と言われて本当に嬉しかった、という友人の話を書き込んでいる人もいました。

 このほかネット上では、思い切って現場に任せた経営陣の決断力や、キャストそれぞれがマニュアル通りではなく自ら考えて行動した点を称賛する声も多数上がりました。当時のTDRのエピソードからは、災害時の行動のあり方だけでなく、私たちが普段の生活を送る上でも役立つヒントが見つかるかもしれません。(デジタル編集部)


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