新型コロナウイルス情報

新型肺炎、帰国者滞在1週間 「なぜ勝浦に」「決断評価」 市民、受け入れに賛否

バスを降り、ホテルに入る帰国者=1月29日午後6時45分ごろ、勝浦市
バスを降り、ホテルに入る帰国者=1月29日午後6時45分ごろ、勝浦市

 新型コロナウイルスによる肺炎が拡大する中国・武漢からの帰国者を、勝浦市のホテルが受け入れてから5日で1週間が経過。事前情報もなく帰国者の到着を知った市民からは「なぜ勝浦に」「よく決断した」と賛否両論が噴出した。市は説明会を開き、感染の心配はなく、安全性が確保されていると強調するなど市民の不安解消へ情報発信を強めている。

 1月28日夜、国から市へ帰国者の受け入れを要請する電話があった。土屋元市長はホテルや県が了解しているとの理由で異議を申し立てなかった。市長は29日午前、市幹部に帰国者受け入れを伝えて通常の公務に。ホテル前には昼ごろから報道陣が集まり、市民はテレビニュースなどを通じて帰国者の到着を知ることになった。

 市民に動揺が広がる中、市は29日午後6時すぎに対策本部を設置。30日午前に市議会に受け入れの経緯を説明するなど内部で情報を共有した。一方でホテルに滞在する2人から陽性反応が出て亀田総合病院(鴨川市)に入院。市民には感染拡大を不安視する声が上がった。

 市は31日になって市内全戸に受け入れについての説明文を配布し、子どもたちにはマスクなどを配った。土屋市長は記者会見に臨み「人道上の立場から受け入れた。苦渋の選択」と理解を求めた。31日まで市民に受け入れ情報を伝えなかったことについては「マスコミが発信していて市から小出しに伝えるつもりはなかった」。市職員をホテルに派遣し、国や県からの情報収集を進めた。

 感染へのさらなる不安解消へ、市は今月3日に市民向け説明会を開催した。同院感染症科の医師は、検査結果や厳重な管理体制を説明して安全性を強調。「亀田(総合病院)にも『受診しない』などとたくさんの電話がきた。自治体などから情報発信するのが重要だ」と風評被害防止を訴えた。

 ホテルの部屋数は約170。帰国者は当初191人おり相部屋が発生していた。相部屋解消へ、これまでに11人が東京都内や埼玉県内の施設へ移動。1人が身内に不幸があったため帰宅して外出せずに経過観察している。4日現在177人がホテルの部屋内で過ごしており、いずれも検査結果は陰性で発症者もない。政府は4日、帰国者の経過観察期間について現行の14日間から10日間に短縮することを発表した。

 市民からは、これまで「帰国者受け入れをよく決断した」などと市の対応を評価する意見があり、市外から激励のメールも届いている。だが、「なぜホテルが受け入れ先になったのか」「感染が広がったらどうしよう」などの疑問や今後を心配する声も上がる。市は「逐一、市民にくまなく情報を伝える方針。不安払拭(ふっしょく)に努めたい」としている。


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