処分妥当か見極めに効力 少年審判 民間と連携 第3部 青少年の心と向き合う 【育て!ちばの若人】(15)

  午後八時のJR千葉駅東口(千葉市中央区)。休日前夜ということもあり、ほろ酔い加減のサラリーマンたちが行き交う傍らで、約四十人の少年少女が清掃活動に励んでいた。よく見れば、大人と二人一組でごみを拾う参加者もいる。付かず離れずの微妙な距離間だ。

■ 清掃活動と組合わせ
 少年審判の手続きで、少年院送致などの処分が妥当か見極める中間的措置として「試験観察」がある。千葉家裁では、これを独自に民間二団体と連携して実施。プログラムの一つに街頭の清掃活動があり、原則親子参加だ。同行の男性調査官(27)は「親子関係が変わるきっかけにもなれば」と狙いを話す。

 試験観察中の少年(16)は母親(52)から二メートルほどの距離を保って吸い殻や空き缶を拾っていた。解体作業員として働く少年は「正直、やらないといけないからやってる。恥ずかしいから、そういう意味で仕事よりもつらい」とこちらに目を合わさずに言った。しかし、脇から担当の調査官が声をかけると屈託のない笑顔を浮かべた。

 終始うつむき加減で顔をしかめたままの母親。「何でこんなことになっちゃったのかなと思う。友達から悪い影響を受けたのかな」と、まるで独り言のように語った。

 親子は別々にごみを拾っていたが、やがて寄り添って歩き何度か言葉を交わした。

 千葉家裁ほど積極的に民間と連携した「試験観察」に取り組む家裁は、全国的に例を見ない。四―六カ月間の在宅での面接か、職業訓練の協力事業者である「職親」に預ける補導委託が一般的だが、同家裁では二〇〇五年から本格的に清掃活動と調査官面接を組み合わせ始めた。

■社会の見方変えて
 プログラムは清掃活動以外にも里山整備や農場での植栽などが加わり、少年に適した活動を選択できるようにもなった。家裁側は処分の見極めの参考とする一方で、活動を通して少年たちに社会に対する見方を変えてもらいたいとも考えている。

 山田稔主任調査官は「従来は調査官がすべてを引き受けるという考え方が強くあった。しかし、民間と連携することでより社会的な環境で観察ができるようになった。今ではほかの家裁から見学も来る」と確かな手応えを感じている。「ただし、検証はこれから。同じ子どもが来なくなるまでが私たちの仕事です」

 髪をオレンジ色に染めた高校一年の少年(16)は昨年七月から二十回以上、清掃活動に参加している。すでに試験観察は終了しており、現在はボランティアとしての参加だ。「ひまつぶし、かな」。少年は路肩に捨てられたビニール傘を袋に詰め込みながらつぶやいた。

 「カネがなくて強盗しちゃったけど、悪いことをした認識はある。この前、アルバイトの面接に行ってきたんだ」

 清掃が終わると、少年は路上にしゃがみ込んで携帯電話をいじり始めた。外見はいわゆる非行少年。しかし、心は少しずつ変わろうとしている。


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