「教訓生かして」願う両親 市原いじめ自殺から7年 第3部 青少年の心と向き合う 【育て!ちばの若人】(13)

 市原市に住む両親は、小学校時代からいじめに苦しみ続けた二女=当時(15)=の自殺原因が、県教委の調査で「学校問題」以外の項目に分類されていたことを七年経った今年、今回の取材を通じて初めて知った。

  「あれを学校問題と認識していないのでは、いじめがなくなるわけがない」。還暦を過ぎた夫婦はうなだれた。

■ 「その他」に分類
 全国の教育委員会の毎年度調査で、生徒児童の自殺原因は(1)家庭の事情(2)学校問題(3)病弱による悲観(4)厭世(えんせい)(5)異性問題(6)精神障害(7)その他―の七項目に分類される。学校でのいじめはもちろん「(2)学校問題」に含まれる。しかし、二女の自殺原因は、両親には信じられないことに「(7)その他」となっていた。

  市原市立有秋中学三年だった女子生徒は二〇〇〇年十月十三日、自宅裏のビワの木に首をつって死んだ。

 『ヒドイ 最っっっっ低―。死のうと思っても、こわくなってしまう。早く楽になりたい。あいつらは絶対に許さない。復讐(ふくしゅう)してやる。今までどうもありがとう。さようなら』

 自室の机から見つかったメモ。県教委はこれを遺書と認定していない。

 県教委は、女子生徒の自殺原因を「その他」とした理由に(1)裁判所がいじめと自殺の因果関係を認めていない(2)いじめは中学二年時までだった(3)別の原因も考えられる―の三点を挙げた。

 自殺の四カ月前にも、女子生徒は手首を切った。母親が問い詰めると女子生徒はいじめを告白。本人の意向で学校には「けが」と報告した。「いじめがエスカレートするのが怖かったのでは」と母親は振り返る。

 女子生徒は中学二年時、ほかの生徒から「臭い」などと言われ、学校を休んだ際には机に花を置く「葬式ごっこ」もされた。学校が対策を取り表面的には解消されたように見えたが、三年生になっても陰湿ないじめは続いていたという。

 女子生徒が手首を切ったのは日曜日。母親が大学病院の休日診療に連れて行き、いじめについて話すと、気を利かせた医師は精神科の医師を呼んだ。父親は「県教委の言う『別の原因も考えられる』というのは、この診察のことぐらいしか思いつかない」と話す。母親は「学校でのいじめが根っこにあるのに、これで『その他』にするのはおかしい」と嘆いた。

 県教委は取材に対し「これからのいじめを防ぐことこそが重要」と事件の再検証は行わない方針を示している。

■ きょう「命日」
 父親は外出時、かつて女子生徒が使っていた小物入れを肌身離さない。「なるべく(自殺を)思い出したくはないんだけどね」。胸中は複雑だ。きょう十月十三日は、女子生徒の命日。「先生たちがきちっとすればいじめはなくなる。教訓を生かしてほしい」。遺影を前に両親は願った。悲劇が二度と繰り返されないように。


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