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消防団員減止まらず 少子高齢化、職業の変化… 防災力確保へ女性に着目 【房総の記憶 関東大震災100年】

管轄する花見川地区を案内する布施隊長=8月28日、同区
管轄する花見川地区を案内する布施隊長=8月28日、同区

 震災時は火災が同時に複数発生する恐れがあり、住宅の倒壊や道路の損壊などで公的消防が到着できない懸念がある。木造住宅が密集する市街地で大規模火災を防ぐには、住民自らによる初期消火が鍵を握る。頼みの綱となるのが消防団だが、団員数の減少に歯止めがかからない。特に若者の減少が顕著。現役の消防団員は地域防災力の低下に危機感を抱いている。

 県消防課消防指導室によると、県内の消防団の団員数は2014年度から10年連続で減少している。今年度の団員は2万3057人で、必要とされる定数(2万7606人)の8割程度しか満たしていない。担当者は少子高齢化でそもそもなり手が不足していると指摘。それに追い打ちをかけるのが社会の変化となる。

 「消防団は大変だけど、地域を守るためには必要な存在」。現在105人が在籍する千葉市消防団花見川区方面隊の布施益生隊長(66)は強調する。しかし、同隊も団員数の減少は顕著だ。減少は消火活動能力の低下に直結。現場に出動できない可能性さえ出てくる。

 布施隊長は減少理由に、住民の職業や生活リズムの変化を挙げる。布施隊長が団員になった当初は、日中も地元にいる農家や自営業の住民が団員となることが多かったが、現在はほとんどの住民が会社勤め。かつてに比べて地域住民同士の関わりが少なくなったことも団員減少に拍車をかける。

 千葉市消防局は団員数を確保するため、今年4月から「機能別団員制度」を導入。消防団員は70歳で定年だが、大規模災害時に限定してOBが活動できる「大規模災害団員」や、防災イベントなどを中心に担当する「広報団員」を制度化した。結果、今年は機能別団員25人を合わせると、昨年の団員数663人を上回る670人を確保できた。

 同市は若者確保にも知恵を絞る。これまで体力的に消防団に縁がなかった女性に着目。消防団の魅力アピールや女性ならではの役割を設けることなど対策を始めた。県全体の消防団員のうち、女性は2・7%だが、同市は23%を占める。学生の参加も呼びかけており、同局の担当者は「若者を増やすため、これからも模索していく」と話した。

 身近な消防力の低下に直面する中で、同担当者は住民一人一人の意識向上が求められてくるとする。「東日本大震災からも12年が経過し、震災に備えるという意識が薄まっている。日ごろから話題にするだけでも意識が変わる。いつ起こるかわからないからこそ大災害。自分事として捉えて準備してほしい」と訴えた。

 
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