「自分史」と認知症

  • LINEで送る

 NHK・Eテレの「ハートネットTV」で、認知症ケアの現場より「自分史からの贈り物」という番組を見た。サポート・スタッフによる介助ドキュメンタリーだった。

 内容としては、記憶が薄れた認知者と手を携え、二人三脚で彼らの「自分史」をたどり、閉ざされた扉の隙間だけでも開けようという試みだった。

 興味深かったのは、得意だったこと、ほめられたことなど、プラス面の記憶に手応えがあったこと。

 まず認知症のおばさんに笑顔が戻った。おばさんの得意なものは昔話などの語り手だった。

 おばさんの「自分史」を引き寄せたボランティアのスタッフは、さっそくそのお膳立てをする。町内の大人や子どもを招待し、客席をセットしたのだ。

 初めは照れたような、困惑したようなおばさんの表情が、目の輝きを取り戻していく。

 ぎこちない語り口が、しだいに記憶の糸をたぐり寄せ、表情とともに、口調も生き生きとしてきて、忘れたはずの一節一節がよみがえってくる。

 語り終えると、付き合いで集まったと思われる客席から、いっせいに拍手と歓声が起こる。

 三味線弾きは、認知症にかかっても、見事に演奏するといわれ、それは運動神経によるものだと聞いたことがあるが、そこに、一脈通じ合う接点があるのだろうか。......