垣花恵子さんの天才

  • LINEで送る

 沖縄県平良市下里592番地「恵子美術館」主宰・垣花恵子(かきのはな・けいこ)さんは、単純には画廊におさまらない画家のようで、パーソナルな宇宙空間を飛び回っている。

 会ったことがないのに、恵子美術館の本「すけっちぶっく」を読み、その天与の才を憧憬していたら、さっと電話をもらった。

 私は人に携帯を贈られて持ってはいるが、かかってきても出たことはなく、催足されるままに基本料金だけ払っているが、このときは神がかりで出た。

 電話の苦手な私が、一時間近くも話したようで、なんともいえない会話への誘引があった。大学の文学部の先生から、竜宮城の説話でもあるまいし、文章を書こうという者なら、なんともいえない、絵にもかけないなど、恥になるから、なとんかいえ!といわれたこともあるが…。

 恵子さんの話は、天女編と魔物編が、機知を動力に飛び交っていて、テンポも早いのに、さりげなく間を置いて、とろい私をおいてけぼりにはしない。

 会話のラリーに変化球がふえて、私の返球が定まらなくなると、少女は心得たりと、回転レシーブしてくれる。…恵子さんの写真のお顔は、かわいらしい少女顔に見える。

 ふと少女のトーンが変わり、しんみりとする。

 「自分はすばらしい夫をもった。自分は時に魔性と共存するが、夫は混じり気なしの善人で、あの世でもいっしょにいたい」

 私は羨望のあまり、でも魔性は地獄へ、善人は極楽へと、別居になるのでは、と意地悪をいうと、怒らず、そうかも、といった。・・・