2020夏季千葉県高等学校野球大会 あの瞬間を捉えた写真も多数

出世した「鎌足桜」

 二月十二日、雪が続いた後の雨で寒かった。

 木更津駅東口で、今日の「鎌足桜学級」を担当してくれる松本明子さんが待っていてくれた。

 小型の車で、右へ左へと曲がる間も心が浮いていた。何年かぶりで「鎌足桜」に会える。

 以前に、やはり講師として招かれたとき、公民館前庭の「鎌足桜」を見染めた。

 まだ幼木だったが、それにしてもか細く、枝葉も名前負けがあるのか弱々しかった。中大兄皇子と蘇我氏を倒した藤原鎌足の面影なしだが、大織冠の品性はどこやら継承しているらしかった。

 他の桜は開花していたが、見たいと思う「鎌足桜」は、その気配すらなかった。

 木更津市矢那八九九ノ一、木更津市立鎌足公民館はリニューアルされていた。

 野中道男館長さんに迎えられ、打ち合わせ室に入る。改めて「鎌足桜学校」について説明を受け、学級名に付いている「桜」が「鎌足桜」だと知った。

 野中館長さんは多弁ではないが、さりげなく筋の通った話をされる。講師としての打ち合わせはそっちのけで、話題は「鎌足桜」に集中した。

 館長さんは「木更津市鎌足桜保存会」の事務局長さんで、地元発信の桜のメジャー化を計り、グループとともに日々がんばっておられる。

 私が「鎌足桜」の花を見ていないというと、館長さんは、写真があります、とおっしゃって取りに行かれた。

 「これです」

 野中館長さんから提示された花を見て、私は瞠目した。

 可憐ながら華やかでさえあり、芯の強さも秘めていた。何よりその美しさは感動ものだった。

 窓外に、枝幹を誇り、青年期を迎えた「鎌足桜」が見えていた。

 「みごとですねえ」

 「種類は山桜ですが、花心に魔術があります」

 その魔術等について、教育委員会の記録をお借りして調べた。...


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