「しあわせの王様」

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 小学館の新刊『しあわせの王様』を手にして、表題・副題・帯文と、繰り返し味読した。

 表題――しあわせの王様

 副題――全身麻痺のALSを生きる舩後靖彦の挑戦

 帯文――ALS はじめて耳にするその名医師の宣告余命三年不治の難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)の身でありながら常に前向きに生きる舩後靖彦が、その生き様を短歌に謳う

 裏帯文――「治療法がない」「全身麻痺」「呼吸停止」「余命三年」過酷な宣告に絶望し、どん底に落ちた舩後は、同病の友を支える「ピアサポート」をきっかけに大きく立ち直る。人を支えることは、自分を勇気づけること! 人生、どんな状況でも楽しめる!全身麻痺の身で講演やコンサートをこなし、創作活動を続ける「しあわせの王様」の生き方とは。

 本を開くと二十八項目の目次があり、本文を告知するリードとして、個々に筆者の短歌が添えられている。

 紙面のつごうで数項目紹介させていただく。

  宣告

 告げられて我も男子と踏ん張るもその病名に震え止まらず

  発病

 十歳の愛娘との腕相撲負けて嬉しい花一匁

  不安

 病院に行けば二度とは戻れぬ予感しあえて診察受けず

  失態

 妻の肩杖にするとは情けなや大黒柱となるべき我が

  ALS

 筋萎縮性側索硬化症ALSの禍々しき名

  絶望

 何をする気力も湧かず引きこもるただ絶望の海に溺れて

  否定

 「不治」という単語ばかりが聞こえくる病名告げる医師の唇

  受容

 歩きでは最後と行った散歩道地に素足つけ別れを惜しむ

  今井医師

 使命から鬼にもなれるわが主治医その目に浮かぶ涙に驚き

  母

 介護苦を知っているのに知らないと我看る母に菩薩をみた日

  妻

 鬱来れば妻の香以外薬なし漂いくれば不安和らぎ

  王様病

 病苦さえ運命がくれたゲームだと思える我は「しあわせの王」

 目次及び各項目の短歌を紹介するうち、絶望の中に可能性を見出していく舩後靖彦氏の気合が伝わる。...