米寿の祝いの副賞

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 平成22年8月、飲み友達の斉藤雪枝さんが、めでたく米寿を迎えた。

 80歳当時は、雪枝さんのボーイフレンドベストテンで、酒井登志生は第1位にランクされていたが、88歳の晴れの日を迎えるあたりから、どうやら順位を下げたらしい。お祝いのビールをいっしょに飲まなかったせいか。

 雪枝さんは見事な人生の中で米寿を迎えた。

 結婚後ほどなく出征した夫はそのまま帰還せず、雪枝さんはたちまち戦争末亡人となり、おなかの子と二人で生きることになる。

 やがて誕生した女の子は美恵子と名付けられ、二人ぼっちの長途(ちょうと)の旅が始まる。

 働き口を求めて転居する間も、雪枝さんは笑顔を忘れず、美恵子さんもすくすくと育ち、お母さんのお使いができるようになる。

 「お使いで、コロッケを買いに行くのが一番の楽しみでした」

 美恵子さんの少女期の述懐だが、後年、千葉市で保育園の先生になっても、現在の大極拳指導者になっても、その素朴な少女期の感受性は生きていて、生徒にぬくもりを与えている。

 さらにそのぬくもりは、今回の母親孝行「米寿記念家族旅行」へとつながり、雪枝さんを中心に、美枝子さんと夫の春雄さん、孫夫婦、そしてひ孫さん方の四世代家族で、福島方面へ向けて、和気あいあいの出発となる。二人ぼっちだった母娘が、こんどはたくさんの家族に囲まれて。

 四世代家族は、ふくしま海洋科学館「アクアマリンふくしま」を見学し、湯本温泉に一泊。翌日「アンモナイトセンター」で化石発掘体験など楽しんだ後、食事をしようと「道の駅よつくら港」を訪ねた。福島県いわき市で初の道の駅として昨年暮れにオープンし、早くも人場客数20万人を迎えようとしていた。・・・