好意的「雑感」

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 エッセー集『オレ、あけぼの』(千葉日報社刊)について、昨年(平成24年9月)の出版以来、遠山あき先生方からありがたい評をいただいているが、新年に入り、青森市の旧友・長谷川孝典さんの好意的「雑感」(本人言)も届く。

 ▼エッセーは、流れるように読ませるのが大事だと思いますが、私(長谷川さん)の好みとしては、目次第十七段「山中葛子氏の実 南天」、第四十七段「ふうもちおじさん」、第八十一段「ぬくもりに浸る日」、第八十七段「喜怒哀楽の彼方に」、第九十一段「三代夫婦家の祝い」、第百二十九段「ふと故郷を思う日」など挙げたいが、読者の見方、読み方によってはどの作品も高得点を上げる可能性大です。それは、筆者の文章が固有性を主張しながらも、どこかしら、サービス精神を用意しているからです。

 ▼次のフレーズも私好みの文章術です。(第三十八段「赤々と山小屋の灯」より二節)

 「(車の迎えを断り)短時間でも列車に乗ることで、待ち人のいるうれしさの興奮を高めたかった」

 「(山小屋にて)囲炉裏の炭火は、熱度よりも先に赤々と主の心ばえを伝える」

 (第六十九段中「拡大深沢幸雄展」末尾「深沢暁子さんの陶芸展」より)

 「さわやかに、繊細に、彩釉(さいゆう)作品の紋様がむつみ合い、なれ合い、また鉄釉(てつゆう)花入れなど、シンプルな表情の中に自己主張を持つ」

 (八十四段「甘えの日々の幻想」より、無愛想な父が、少年期の私を医者に連れていった帰り、伯母、つまり父の姉のところへ寄った日の記憶)

 「伯母のところでは、父が変身した。突っ張った骨を和(やわ)らげ、壊れたようにくつろぎ、山盛りの甘味を頬張っていた」

 長谷川孝典さんは、作品論の他に、小心者の私への慰撫も忘れない。......