『屁ったれ嫁』咄

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 全国ネットで通じ合う民話は数多(すうた)あり、例えば『屁ったれ嫁の誰だっぺ』といった話も、それらの一つといえよう。

 市原弁で語られる『屁ったれ嫁』咄のとばくちを紹介してみんべ。

 -昔、あるところさ年ごろの娘がいただっちよ。そっで、いっぺい嫁もれえが来(く)っと、おっかさんが、おらが娘は屁ったれだけん、嫁にゃおいねかっぺよう…って、えんりょしただっちよう。

 さて、その後の経過だが、市原出身の私でも、方言でしゃべるのはかったるいから、標準語でしゃべってみんべ。(あれ?)

 そんなあんばいで、屁ったれがキズとなり、嫁入り話は遠退(とおの)いていったが、そろそろ「いかず後家」の時分になって、良縁に恵まれた。

 年がいっても、かわいらしい顔立ちで働き者の娘は、良家息子に見初められ、その母親(未亡人)の愛顧も得られ、めでたく祝言という運びになった。

 だが、幸せな新婚生活が続くうち、気がゆるんだものか、また娘(嫁)の屁ったれ癖が始まった。

 それでも夫は、子守歌がわりになると言い、姑も、高らかで、朗らかな音色だと言ってくれる。

 ところがこの家には、夫に先立たれて出戻った伯母がいて、何かにつけて、義妹や甥の上座に就きたがっていた。

 この伯母にとり『屁ったれ嫁』は何より権力行使の口実となった。

 「嫁の大砲のような屁の響きは、私を寝不足にしている。屁がおさまるまで、嫁は蔵で寝るがいい」

 出戻りでもこの家の主みたいな伯母の言うことは、姑も甥も聞かないわけにはいかない。......