2025年11月8日 05:00 | 有料記事

スタインベックの銅像(寄稿者提供)
「文学者は絶対に受身でありえない文学の基本的性質ゆえに、いわば精神の危険物をあつかう職務ゆえに、全面的に己れの発言に責任を負う必要がある」(高橋和巳「文学の責任」より)
私は、小説「おばーのゲルニカ」で第63回「千葉文学賞・小説大賞」をいただいた。その折に「受賞の言葉」のご依頼を受けたのだが、その時頭の中に浮かんだのが前述した「文学の責任」という高橋和巳氏の言葉だった。そこで、それを自分なりに解釈しながら依頼に対する言葉を執筆し、投稿させていただいた。 この「文学の責任」は、かつて私が文学部日本文学科で学んでいる時に出会った書籍の中の一冊であった。私はそれ以来、「文学の中での『責任』とはいかなることなのか」と、ことあるごとに考えるようになっていったのだった。
そんな私が、かつて深く傾倒した作家が「アメリカ文学の巨人」とも称されたジョン・アーンスト・スタインベックだった。彼はアメリ ・・・
【残り 769文字】





