2020夏季千葉県高等学校野球大会 あの瞬間を捉えた写真も多数

【千葉魂】 美馬と沢村、原点は六畳一間 中大で同部屋再びチームメートに

中大時代に同部屋だった美馬(右)と沢村=ZOZOマリン
中大時代に同部屋だった美馬(右)と沢村=ZOZOマリン

 深い縁を感じる。美馬学投手は遠い昔のことを想(おも)い返した。中央大学野球部では寮生活。六畳一間の部屋に3人が入る。大学3年生になると新入学生2人が同部屋となった。そのうちの1人が後にジャイアンツにドラフト1位で入団をし、トレードでマリーンズ入りしチームメートになる沢村拓一投手だった。

 「当時はまだ今みたいに体も大きくなかったけど、真面目な子という印象。なんでも一生懸命やっていた。曲がった事が嫌いで、やると決めたらとことんやるタイプ」と美馬は懐かしき青春時代を振り返った。

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 後輩として沢村が入部をしてきたことは美馬にとっても大きな転機となった。3年春のリーグ戦では背番号はもらえなかった。しかし沢村は1年生ながら試合で投げていた。負けじと必死にアピールして秋にはベンチ入り。先発した沢村の後を投げる役割を担った。

 「後輩たちには能力のある投手が多かった。もっと頑張らないと試合に出られない。それが自分の刺激となり、自分も頑張れた」と美馬。

 いろいろな思い出がある。狭い部屋での3人暮らし。どうしても1人、布団を敷く場所が狭くなる。だから後輩のどちらか1人、押し入れに寝る。その役を沢村は買って出ていた。そのことについて沢村は「押し入れの中に寝るというか、体半分。上半身が押し入れというイメージです」と笑う。

 常に優しかった美馬だが沢村ら後輩に一度だけ怒ったことがある。トレーニングの時間。ダッシュ10本のメニューで、後輩たちが少し力を抜き、笑いながら走っている場面があった。「10本ダッシュと決めたのなら、その10本は真剣にやらないと意味がない」。温厚な先輩の一言が沢村の胸に突き刺さった。その後も沢村は先輩の教えを忘れずにひたすら実践し続けた。だから美馬が卒業し自分が3年生となり後輩を指導する立場となった時、同じように伝えた。

 そんな2人は時を経て、チームメートになる。プロではハワイでの自主トレを同じ場所で行うなどはしたが、それほど接点は多くはない。美馬はドラフト2位でイーグルスに入団しFAでマリーンズに。沢村はジャイアンツにドラフト1位で入団をしてトレードで加入した。トレードが決まった時も真っ先に電話でやりとりをした。大学時代の同部屋の2人は今、マリーンズ優勝の原動力となっている。

 「すごい縁を感じました。沢村から電話がかかってきた時、興奮しているのが声から伝わってきた。自分としてはうれしいし、これからチームの優勝のために一緒に頑張りたい」

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 新天地で躍動する姿を美馬は優しい先輩の目で見守る。2人の野球人生の原点は中大野球部合宿所の六畳一間。沢村は先輩が1人、部屋で涙していたことも覚えている。美馬も高い身体能力を持ちながらも、それでも努力を重ね、汗を流し続けていた後輩の姿、そして押し入れで率先して寝ていた優しき沢村を誰よりも知っている。2人は今、マリーンズ優勝のキーマンである。最高の瞬間を共に味わうために、あの時のように切磋琢磨(せっさたくま)しながら全力投球を続ける。

(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)



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