部活中の傷害、教諭無罪 千葉地裁「生徒証言は不自然」

  • LINEで送る

 部活動の指導中に教え子を殴りけがをさせたとして、傷害の罪に問われた東京学館浦安中学校・高校(浦安市)教諭の男性被告(38)に、千葉地裁(高木順子裁判長)は23日、無罪判決(求刑・懲役6月)を言い渡した。高木裁判長は「被害証言自体に不自然、不合理な点がある。被害生徒の傷を撮影した写真も暴行を認定できるものではない」と判断した。

 これまでの公判で、男性教諭は「全く記憶にございません」などと一貫して無罪を主張。被害生徒の証言の信用性が争点となった。

 高木裁判長は判決理由で、殴打回数に対する被害生徒の証言にばらつきがあることに言及し「異なる内容を供述したのは見過ごせない」と指摘。また、被害生徒が男性教諭の暴行をツイッターに投稿して当時の校長らから聞き取りを受けた際、中学時代の暴行などは話したものの、今回の暴行のみ打ち明けていないことから「いかにも不自然で理由の説明がつかない」と述べた。

 さらに、暴行を目撃した他の生徒らの証言についても「暴行の態様や部位が異なり、捜査段階から大きく変遷するなど信は置けない」と判示。被害生徒の傷を撮影した写真も「暴行を直接認定する証明力はない」とした。

 判決などによると、男性教諭は顧問を務める同校剣道部の練習中だった2012年6月12日夕、同校剣道場で、稽古終了を合図する太鼓をたたいた剣道部員で当時高1の男子生徒の口元を「たたく回数が違う」などの理由でこてをはめた手で2回殴打。軽傷を負わせたとして書類送検され、昨年3月、千葉地検が在宅起訴していた。

 判決を受け、千葉地検の広瀬勝重次席検事は「判決内容を精査し、上級庁とも協議の上、適切に対処したい」とのコメントを出した。

◆教諭男性「ほっとした」

 「ほっとした。やっと子どもたちのところへ戻れる」

 判決言い渡し後、男性教諭は報道陣の取材に応じ、安堵(あんど)の表情を浮かべながら心境を語った。

 黒いスーツ姿で出廷し、時折ハンカチで額の汗を拭いながら判決に聞き入った。昨年4月から学校を休職し、現在はストレスから顔面まひを患っているという。「精神的に追い込まれ、長い1年だった。(教え子の)卒業式に間に合わなかったのが残念」と声を落とした。

 担当弁護士は「疑問が残る証言にもきちんと判断してくれて良かった」と判決を支持した。