事実上3日間のフェスに【サマソニ15周年、創設者の清水直樹氏に聞く】<上>

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インタビューに答える清水氏
インタビューに答える清水氏
アーティストの熱演に盛り上がる昨年のマリンステージ (C)SUMMER SONIC 2013 All Rights Reserved
アーティストの熱演に盛り上がる昨年のマリンステージ (C)SUMMER SONIC 2013 All Rights Reserved

 16~17日に千葉市幕張新都心と大阪市舞州地区の2会場で開かれるアジア最大級のロックフェスティバル「サマーソニック」(サマソニ)が今年で15周年を迎える。当初、千葉マリンスタジアム(現QVCマリンフィールド)と幕張メッセの1ステージずつから始まった幕張会場は年々規模を拡大。今や7ステージを構え、2日で13万人(昨年)を集める巨大フェスに成長し、幕張の「夏の風物詩」として根付いてきた。節目を機に運営会社のクリエイティブマンプロダクション社長、清水直樹氏がサマソニの過去・現在・未来について語った。(聞き手・平口亜土)

■新旧ロックを楽しんで

 ―今年のサマソニの魅力について教えてください。

 「クイーン+アダム・ランバート」を呼べたのがすごく大きいと思います。彼らは最近、北米ツアーをやっていましたが、当初アジアは彼らの頭の中にはなかった。サマソニと韓国のフェスがオファーしたということで、アジアも組み込んでもらえた。期間限定でのコラボなので、我々が逃していたら来日させることができなかったと思います。クイーンの錚々(そうそう)たる楽曲をマリンスタジアムの野外で楽しむという経験は、これが最初で最後だと思うので、絶対見逃してほしくない。

 幕張ではその前日もロバート・プラント(レッド・ツェッペリンのボーカル)がツェッペリンの曲をやるという「ロックの伝統」の流れがあります。アークティック・モンキーズやフェニックスのようなしっかりとした旬のバンドも連ねている。総合的に新旧のロックの良さを楽しんでもらえれば幸いです。

 ―毎年、ステージごとにテーマを決めてラインナップを作っているのですか。例えば1日目のマウンテンステージはメタル系のバンドが多いですね。

 テーマを決めてもなかなかその通りにならないので、基本は各ステージのヘッドライナー(ステージの主役となる最終出演者)を最初に決め、それに沿って考えていきます。1日目のマウンテンステージはアヴェンジド・セヴンフォールド(米国のヘビーメタルバンド)がヘッドライナーなので、ヘビーロック系で固めている。一方、ソニックステージは1日目がフェニックス、2日目がピクシーズと、ともにインディーロック系のヘッドライナーなので、他もそうした系統のバンドで構成する、というやり方です。

 ―15周年で特に力を入れる点はありますか。

 いや、意外にアーティストのラインナップや中身に関しては、例年とそれほど変わらない内容です。15周年の特別なこだわりのステージがあるとか、15周年だからやるエリアとかは今のところ考えてなくて、20年、30年と続けていく中での途中段階と考えています。

 ―10周年(2009年)のときは3日間開催しました。あれ以来サマソニは3日間になるのかなと思ったのですが、そうではありませんでしたね。

 千葉、大阪の2会場で3日やるというのはフェスとしてしんどいんですよ。3日やっているフェスは会場が1カ所というのが多い。やはりアニバーサリーのようなときじゃないとチャレンジできない。ただ、その後、前夜祭の「ソニックマニア」を金曜のオールナイトイベントにし、今やその日だけで2万5千人~3万人が集まる大規模なものになったので、事実上3日間のフェスになりつつあります。

 さらに最近では、サマソニ直前にQVCマリンフィールドのステージを使ったライブをやっています。12年はエミネムやビーチ・ボーイズ、13年はエアロスミスとB’zやバンプ・オブ・チキン、今年は13、14日にレディー・ガガ。せっかくマリンにステージを作るので、世界の大物に単独公演をやってもらいたい。そうした新たな企画も毎年チャレンジしています。

■ふらっと行き、ぱっと気付いた

 ―東京会場は1年目が富士急ハイランド(山梨県)で、2年目から幕張となりました。幕張を選んだ経緯を教えてもらえますか。

 富士急は容量が最大2万人ですし、ステージをなかなか作れる場所もなくて、1年目が終わった時点で、続けるなら新たな場所を探さないと、と考えてすぐに動き出したんです。大きな施設や広場があるところを東京、神奈川、千葉、埼玉などで探しました。

 自分でもいろいろドライブしたりして探したんですよ。横浜のパシフィコとその周辺も見たし、稲毛の公園も見た。ふと、幕張にふらっと立ち寄ったときに、スタジアムがあって、道を挟んでメッセがあって、その光景を見てぱっと気付いたんです。それまでも、どちらもライブ会場で使ったことがありましたが、別々に使っていて、同時に使おうという発想がなかった。

 それで両方の施設に交渉して、運良く次の年の同じ日を押さえることができた。そこで押さえられなかったら、さらに新しい場所を探していたと思うので、ひょっとしたら開催できなかったり、違う会場になっていた可能性がある。そういう意味ではラッキーでした。

 ―開催の何カ月前に決まったんですか。

 1回目が終わってすぐに富士急ではできないという結論が出たので、動いたのは本当にすぐでした。8月末か9月頭ぐらいに「幕張でやりたい」と決めて、9月から交渉をスタートし、年内には幕張でやる方向で固めていたはずです。

 ―交渉して施設側の反応はどうでしたか。

 両方使うのは今までにない試みでしたが、既に1年サマソニをやっていたので、規模感を理解してくれたし、今後への期待も持ってくれたんです。かつてはマドンナやHIDEのライブでマリンを使っていましたが、その頃は使っていない時期だった。多分その頃マリンをライブで使っていたのは「エアジャム」(邦パンクバンドのハイ・スタンダードが主催したフェス)ぐらいだった気がします。マリン側もちょうど、音楽を今後積極的にやっていきたいという意向があったようです。当時から我々はサマソニを毎年恒例のものにしていきたいと思っていたので、先が見えるということで歓迎されたと思います。一方、メッセに関しては当時もいろんなライブをやっていたので問題なく、日程さえ合えば、ということでスムーズに行きました。

 ―両方を一緒に使うのは初めての試みだったとのことですが、運営面で難しい点はありませんでしたか。

 メッセとマリンって微妙な距離感ですよね。まあまあ歩かないといけない間隔で、歩くのも普通の道路なので、移動の際にもお客さんにフェスの雰囲気を感じてもらうにはどうすればいいのか、と考えるのに苦労しました。歩道にもアート作品を飾るなどして、移動中にフェスのイメージが壊れないような工夫を年々心掛けてきました。

 ―今はマリンとメッセの間でシャトルバスも運行していますが、当初からそうだったんですか。

 いえ、途中から導入しました。お客さんが増えていく中で渋滞緩和にもなるし、ちょっと待ってもバスに乗って楽に行きたいという人もいる。お客さんのいろんなニーズに合わせたものを作っていきたいな、という中でのチャレンジで取り入れました。

 最近だと、よく分かってる人はタクシーを使うんですよ。タクシーが既に待っていて、メッセ・マリン間を往復している。タクシー側は距離は短いけれど、それを1日に何十回とやると利益になるし、お客さんも何人かで同乗すれば、1人200~300円で行けちゃうわけだから、ほんとタクシーはよく考えたなと。そういう「フェス巧者」が出てくるのは、都会のフェスならではだと思います。