2010年度予算概算要求の無駄を洗い出す、政府の行政刷新会議による事業仕分けが終了した。自民党長期政権では手がつけられなかった部分に大胆にメスを入れ、予算編成過程の可視化は国民に税金の使われ方を再認識してもらう機会ともなった。一方で、次々に下される判定に危うさも感じられた。
与党議員と学者、自治体職員ら民間評価人で構成する作業グループは各省庁の447事業を「廃止」「凍結」「削減」などに仕分け。計9日間で約6千億円に及ぶ予算をカット。独立行政法人の基金や特別会計の剰余金など“埋蔵金”の返納要求を含めた財政効果は約1兆7千億円に上る見通し。
仕分け過程では、各省庁の類似・重複事業をはじめ、外郭団体に天下った元官僚たちの国民の常識とはかけ離れた高額給与や大使館の豪華施設などが次々に明らかになった。厳しい口調で事業内容や効果を追及する仕分け人の前で、沈黙する官僚たち。懸命に必要性を訴える官僚を制止して「利用度が低い」と事業費を一刀両断にする場面は、仕分け人ではなく、権力の座にあぐらをかいてきた省庁の“仕置き人”にさえ見えた。
国の借金は約865兆円。一方、09年度税収は当初見積もりを約8兆円も下回る38兆円前後まで落ち込む見通しだ。主要国の中では最悪という財政難の中で、10年度概算要求は95兆円に膨れ上がった。徹底的な事業見直しと削減は当然だろう。
だが、無駄排除という大義名分のもとに、過疎地域や公的支援が欠かせない社会的弱者にとって命綱のような事業や予算が強引に切られてはいないか。「短期的成果」を優先するあまり、科学技術関連予算を削りすぎて、将来国を支えるべき若手研究者らの芽を摘むような結果になっていないか懸念する。
税金の使途は効率、費用対効果だけで判断すべきものではない。民間ではできないサービスを維持したり、長期的視野からの予算執行も公の役割だ。無駄の判断基準は難しい。仕分け結果の再検証も必要ではないか。
これから仕分け結果を基に各省庁は概算要求を見直すが、12月中に10年度予算案はできるのか。地方交付税交付金額や各種補助金などがまとまらなければ、地方自治体の予算案も編成できず混乱に拍車がかかる。