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ケアとは傷つけないこと 能登半島地震・最相葉月さん

2024/2/4 6:58 (2024/2/4 7:23更新)
 ノンフィクションライターの最相葉月さん 拡大する

ノンフィクションライターの最相葉月さん

 これから被災地で支援やボランティアに携わる人が増えていくと思われます。阪神大震災以降、「心のケア」の活動を取材してきました。その基本は「相手を今以上に傷つけないこと」です。

 支援する側は「自分は傷つける者」だと考えた上で行動したほうがいいと思います。被災した方にどう声をかければいいか分からない時は、汚れたテーブルを拭くだけでもいい。一方で「自分は傷つく」という事実も知ってほしいです。ボランティアや取材者が後にトラウマ(心的外傷)に苦しむ可能性もあります。

 人間は誰かを傷つけ、自分自身も傷つく―。当たり前のことなのに、特に災害時は、認識するのが難しくなるようです。

 支援へ向かう人に読んでほしい本を電子化し、インターネット上で無料公開しています。阪神大震災当時、神戸大医学部精神神経科教授だった故中井久夫先生の「災害がほんとうに襲った時」(みすず書房)。援助者で被災者でもあった中井先生が、震災発生から50日間の出来事や医師たちの行動を書いた手記です。

 現場がどれだけ疲弊するのか、人の心に何が起きるのか。過去の具体的な記録から考察する意義は大きいと思います。

 もう一つ、この本を薦める理由は、詩の翻訳者でもあった中井先生の美しい言葉です。災害時は「何かしなければ」と誰もが熱くなりがちですが、美しい文章に触れることで興奮が静まります。

 世間に氾濫する情報や映像を見て、心身の調子を崩した人もいるかもしれません。大災害に人が「慣れる」ことはありません。情報と距離を置く時間も大切です。(ノンフィクションライター)

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 さいしょう・はづき 1963年東京都生まれ、神戸市育ち。「災害が―」の無料公開のアドレスはhttp://lnet.la.coocan.jp/shin/shin00.html