「不正受給は厳正対処」 隠れて働くケース大半 【貧困の闇 生活保護のいま】(中)

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生活保護の不正受給摘発に取り組む千葉市保護課の片岡憲昭不正受給対策室長=千葉市役所
生活保護の不正受給摘発に取り組む千葉市保護課の片岡憲昭不正受給対策室長=千葉市役所

 生活保護費受給者が増え一部の自治体では財政を圧迫するなか、収入を隠して保護費を受け取るなどする不正受給対策は喫緊の課題だ。行政担当者は「必要な方には必要な保護をしていくが、不正受給には厳正に対処していきたい」と話す。

 千葉県によると、千葉市を除く県内の生活保護受給者は2016年度平均で4万8539世帯、6万3697人。不正受給は15年度で1472件あった。

 千葉市によると、同市内では16年度平均で1万6147世帯、2万527人が受給し、毎年2~3%ずつ増えているという。保護費全体では約347億2200万円に上る。同年度には253件、約1億5400万円の不正受給があった。不正受給者の年齢別の内訳では、60代が最多で約34%。次に40代(約18%)、70代(約14%)、50代(約10%)、30代(約7%)と続く。

 大半が、申告せず隠れて働くケース。余分に得た収入を遊興費や借金の返済に充てるなどする。収入を少なめに申告する手口と合わせると全体の約65%を占める。次に多いのが、年金があるのに申告しないケースで約11%。交通事故の示談金などの臨時収入を申告しないケースが約3%。

 同市は不正受給対策で年2回、受給者全員に前年度の収入を調べる課税調査を実施し、申告された収入と照合する。大きなずれがあれば、口座のチェックや収入源の企業に調査に行く。不正受給を確認すると、不正分を徴収。悪質な場合は告訴する。

 しかし、日雇い労働者が給料を手渡しで得ている場合などは口座に残らず、明細もなく、証拠を押さえづらい。会社が調査に非協力的な場合もあり、働いている現場を押さえたり、証拠を地道に固めるしかなく、摘発は困難を極める。また、非課税の遺族年金や障害年金も課税調査では見つけにくいという。

 同市では、12年から社労士の資格などを持つ年金調査員を非常勤嘱託職員として雇用するなど摘発を強化。年金の無申告による不正受給は4年で約4分の1に減った。過去の事例からマニュアルを作成し、ケースワーカーへの研修にも力を入れており、同市は「不正受給には厳正に対処していきたい」と力を込める。

◇生活保護の不正受給

 厚生労働省によると2015年度の生活保護費の不正受給数は4万3938件となり、過去最多を更新した。前年度から917件(2.1%)増加した。一方、金額は4億8495万円減の169億9408万円だった。1件当たりの金額は1万9千円減の38万7千円で、厚労省が把握する1997年度以降で最低。厚労省は「収入調査が徹底され、早期の段階で発見されるようになった」と分析している。不正受給対策の強化では、2014年7月に改正生活保護法が施行。罰金の上限を引き上げたほか、不正をした際の返還金にペナルティーを上乗せすることなどが盛り込まれた。