被告男強盗殺人認める 千葉市女性殺害で地裁初公判

藤長稜平被告
藤長稜平被告

 昨年4月、千葉市稲毛区の自宅アパートで契約社員、茅野利奈さん=当時(41)=が腹部を刺されるなどして殺害された事件で、強盗殺人と強盗未遂、窃盗、住居侵入などの罪に問われた元飲食店アルバイト従業員で無職、藤長稜平被告(30)の裁判員裁判の初公判が3日、千葉地裁(楡井英夫裁判長)で開かれ、藤長被告は「間違いありません」と、起訴内容を認めた。

 起訴状によると、藤長被告は昨年4月4日、茅野さん宅に侵入し包丁で「騒ぐな。騒げば刺す。金を出せば殺さない」などと脅して金品を奪おうとしたが、抵抗されたため、殺意を持って首や腹などを包丁で複数回突き刺すなどして失血死させたとしている。

 また、同年3月7日、包丁で脅して金品を奪う目的で同区内の別の女性=当時(28)=宅に侵入し、女性に暴行を加えてわいせつな行為をしたほか、同月14日にも同区内の女性=当時(27)=宅に侵入し、現金約9万6千円や財布など計36点の入ったショルダーバッグ(時価計約7900円相当)などを盗んだなどとしている。

 検察側の冒頭陳述によると、兵庫県出身の藤長被告は父親との折り合いが悪かったことから2015年12月、千葉県内の友人を頼って移住。昨年2月ごろ、借金の返済や生活費、遊ぶ金に困り、単身女性宅に包丁を持って忍び込み、見つからなければ金を盗み、見つかれば脅して金を盗もうと考えた。茅野さん宅侵入時は、茅野さんが叫び声を上げて抵抗したため殺害したという。

 弁護側は「(茅野さんに)予想外の抵抗を受けて混乱する中、とにかく静かにしてもらおうと殺害してしまった」と主張。三つの事件の背景としては、藤長被告の考え方などのほか「育った環境に大きく影響を受けた。小さいころから、藤長被告の父親は、息子を自分の思い通りにしようとし、事あるごとに生活に干渉した。健全に成長する機会を奪われた」と述べた。

 茅野さんは、東京都内の外資系企業で事務の契約社員として勤務。昨年4月4日午後9時ごろ、勤務先から茅野さんの父親に「出勤していない」と連絡があり、部屋を訪れた父親が「部屋の中で娘が死んでいる」と110番通報した。午後9時55分ごろ、駆け付けた千葉西署員が室内で死亡している茅野さんを見つけた。藤長被告は当時、千葉市稲毛区稲毛東3のアパートに住んでおり、茅野さんのアパートとの距離はわずか約60メートルだった。

◆「実感なく人ごとだった」 3件とも無施錠玄関から侵入 藤長被告

 初公判では、茅野さんが殺害された事件のほか、別の女性宅に侵入した二つの事件についても審理された。弁護側の被告人質問で藤長被告は、3件とも金品目当てに1人暮らしの女性宅を狙い、無施錠の玄関ドアから侵入していたことを明かした。

 藤長被告は3件とも、日曜日にそば店のバイトを終え午前0時ごろ帰宅し、夕食をとり、スマートフォンをいじった後、仕事が休みの月曜日未明に犯行に及んだ。ニット帽とマスク、手袋、柄の部分に布巾を巻いた包丁を用意し、徒歩で自宅周辺のアパートを物色。室内の点灯状況と玄関の施錠を確認したという。

 3月7日の会社員女性宅では「オートロックの門が開いていた」(藤長被告)。検察側によると、女性は日曜日で買い物などから帰宅し「荷物が多くて気を取られ、玄関のカギをかけ忘れたかも」。翌週14日に侵入された会社員女性は友人の結婚式に参列して帰宅し「疲れてカギをかけ忘れたかもしれない」と話した。

 4月4日。茅野さん宅は2件目の女性と同じアパートだった。「前回にうまくいった。またそのアパートに入ろうと思った」と藤長被告。これまでと同じように、玄関ドアを少し開けて靴を確認。玄関に入り1~2分じっとして、暗さに目を慣らしたという。

 藤長被告に気付いた茅野さんは恐怖におびえ、悲鳴をあげた。藤長被告は、包丁で脅されパニック状態となった茅野さんに焦り「静かにさせようと考えて首を刺しました」。

 3件とも「実感はなかった」という藤長被告。「こういうことをして、なぜ今まで人ごとでいられたのか。自分の考え、思想に驚き、恥ずかしく思っている」とし「どういった刑が下されるか分からないが、生きている限りは自分がしたことを忘れず、犯罪者となった原因を考え続けたい」と述べた。


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