自立後の若者にケア拡充を 児童養護施設での養育や一時保護経験者を支援 有志が団体立ち上げ

千葉県内におけるアフターケアの現状について説明した発起人の安井弁護士=11日、千葉市中央区
千葉県内におけるアフターケアの現状について説明した発起人の安井弁護士=11日、千葉市中央区

 児童養護施設での養育や一時保護を経験した若者を自立後も支えようと、千葉県内の弁護士や施設職員ら有志が「ちば子ども若者アフターケアネットワーク」を立ち上げた。千葉市中央区で初回のシンポジウムを開き、18歳を境目に一時保護など社会的養護の経験者(ケアリーバー)への公的支援が途絶えている現状を説明。経済的・心理的に困難を抱えながら生活する割合は高く、同ネットワークが支援情報などを集約して当事者と支援者が“つながる拠点”を目指すとした。

 ◆「最も過酷な日々」

 当事者としてシンポジウムに参加したりささん(20代・仮名)は親から身体的な虐待を受け、高校時代に一時保護を経験。状況が改善されていないと感じながらも、児童相談所の判断により約1週間で自宅に戻った。担当の職員から「施設に入るより家庭復帰の方がいい」と言われたが、りささんにとって自宅は安全な場所でなかったという。

 高校卒業後も友人宅などに逃げ込みながら過ごし、「人生で最も過酷な日々だった」と振り返る。「一時保護を受けた身としては、その後も状況確認や支援が続くと思った」。しかし児童福祉法の対象者は18歳までで、生活基盤がなく金や食料が底を尽きても支援の対象外だった。

 新型コロナの影響でアルバイトが減った昨年は、「世帯主への一括支給」だった特別定額給付金10万円の受け取りにも苦労。りささんは「私のように(一時保護から)自宅に戻された人は、特にセーフティネットからこぼれ落ちやすい。『家庭は健全』という価値観を押しつけないで」と声を上げた。

 ◆孤立させない場所に

 厚生労働省は今年4月、初めて施設や里親家庭による保護を終えたケアリーバーの全国調査を公表。3人に1人が生活費や学費で困り、5人に1人は過去1年間に金銭的な理由などで病院の受診を諦めた経験があると判明した。

 同調査の回答率はわずか14・4%で、住所や連絡先の不明により案内できなかったケースは約半数。同ネットワークは「一時保護の経験者は調査対象にも含まれておらず、実態はさらに深刻」と憂えた上で、県内の実情に合わせた独自の追跡調査・研究を行う方針を示した。

 同ネットワークは、県内の児童養護施設や中核地域生活支援センターなど、さまざまな形でアフターケアに携わる支援者らで構成。定期的に連絡会を開き支援者同士の結びつきを強めるほか、ケアリーバーを孤立させない“居場所活動”を実施。行政機関とも連携を深め、制度や政策提言も積極的に行う。

 発起人の安井飛鳥弁護士(37)は「ケアリーバーによっては10年、20年という長い年月、ともに歩む支援が必要になる」と指摘。「ケアリーバー、支援者とも対象者を限ることなく、いろいろな人が結びつくネットワークにしていきたい。公的支援の必要性を訴えつつ、現場に質の高いアフターケアを広めていければ」と抱負を語った。


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