

新型コロナウイルス感染拡大防止へ、各地で長期化する一斉休校。親子双方のストレスが高まり、「虐待が疑われる家庭でリスクが高まる」と懸念の声も上がっている。そうした中、市川市に今月、市内2カ所目となる自立援助ホーム「Le Port(ル・ポール)」が誕生する。虐待などの理由で家に居られない15~20歳の子どもたちに暮らす場所を提供する施設だ。運営する市内のNPO法人ダイバーシティ工房(不破牧子代表)は「なるべく普通の家のような形で、学習と仕事の両立ができるホームにしたい」と意気込む。
自立援助ホームは、原則15~20歳が入居対象。虐待などで児童養護施設に居たものの18歳で卒業せざるを得ず、いきなり一人で暮らしていくのが難しいなど、さまざまな理由で家に居られない子どもたちを一時的に預かる。
公的支援が手薄な義務教育後の子どもたちをケアする仕組みだが、全国的に施設不足が課題。同NPOは、保育園や学習塾などさまざまな段階の子どもたちを支援する事業を展開しており、その延長で自立援助ホームの開設に乗り出した。
不破代表が住んでいた一軒家をホームに改装し、最大6人の女性を受け入れる。施設名のル・ポールは「港」を意味するフランス語で、「女の子たちの出発点にも、大変な時に戻ってくる場所にもなれば」(不破代表)との思いを込めた。
学習塾などを運営している強みを生かし、通常の自立援助ホームが行う生活支援や就労支援に加え、学習支援も行うのが特徴だ。学びの場を準備することで、その先の就労に向けた資格取得などにもつなげていく。
開所後、運営に携わるのはNPOスタッフの八神愛衣さん(24)。自身も家庭内暴力を受け、17歳で家出した経験を持つ。「私自身、当事者でもあるので、入居してくる子たちのことにいろいろ共感できる。解決策を一緒に見つけて、『ここに居てもいいんだ』と感じてもらえる温かい場所にしたい」と話している。
◆運営資金、ネットで募集
同NPOは16日まで、自立援助ホームの運営資金を、インターネットで小口の資金を集めるクラウドファンディングで募っている。
入居者は月3万円の生活費をホームに払うが、いきなりお金を払うことが難しい子どもたちもいる。募った資金は「ル・ポール基金」として、そうした子どもたちの生活援助などに充てる予定だ。