鬼滅「無限列車」が千葉に!? 佐倉と茂原の公園に保存 "聖地"活性化に期待も【ちば特 千葉日報特報部】 

車体の上部に2カ所のドームがあるハチロク。無限列車も同様の特徴を持つ=佐倉市表町2の高崎川南公園
車体の上部に2カ所のドームがあるハチロク。無限列車も同様の特徴を持つ=佐倉市表町2の高崎川南公園
萩原公園に設置されている「8620形蒸気機関車」=茂原市
萩原公園に設置されている「8620形蒸気機関車」=茂原市
社会現象となった「鬼滅の刃」。昨秋には成田空港でコラボイベントも開かれた=昨年9月、成田空港第2ターミナル
社会現象となった「鬼滅の刃」。昨秋には成田空港でコラボイベントも開かれた=昨年9月、成田空港第2ターミナル

 漫画やアニメで空前のブームを巻き起こした「鬼滅の刃」。社会現象化した同作品の大ヒット映画「無限列車編」に登場する蒸気機関車(SL)のモデルとされる「8620形(ハチロク)」が、千葉県内でも佐倉・茂原市の公園で見られるとの情報が「ちば特(千葉日報特報部)」に寄せられた。「ちば特」今回は趣向を変えて、話題のSLがそれぞれの公園に保存された理由を調査。大正時代の名残を今に残す「無限列車」に似たSLの、知られざる魅力をこっそりとお伝えしたい。
 (「ちば特」取材班 馬場秀幸、田村理)

 舞台は大正時代、鬼に家族を殺された主人公の竈門(かまど)炭治郎が、鬼と化した妹を人間に戻すため壮絶な戦いに挑む-。幅広い世代に愛される「鬼滅の刃」。昨年10月より公開されている劇場版では「無限列車」に乗った炭治郎や、「鬼殺隊(きさつたい)」最高位の剣士「柱」の一人、煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)による鬼との死闘に目が離せない。

◆コブがそっくり

 「劇場版の人気を『けん引』しているSLとそっくりの『ハチロク』が、県内にもある」と教えてくれたのは東金市の会社員、太田健一さん(63)。太田さんは「配管や、煙突の後ろにある二つの『コブ』がよく似ている」と説明する。

◆なぜここに?

 情報提供を受け、記者が訪ねたのはJR佐倉駅からほど近い高崎川南公園。どちらかといえば人目に付かないような川沿いの小さな公園で、ハチロクは金網フェンスの中でひっそりと置かれていた。「なぜここに」と不思議に思った。

 SL保存会によると、このSLは1922(大正11)年に大阪で造られた。32(昭和7)年に千葉機関区に配属されて総武線などを走り、その後は佐倉機関区に移籍。69(昭和44)年12月に引退するまで、地球57周分に当たる228万7115キロを走行した。

 その後、鉄道関係者らが佐倉市議会にSL保存の請願を提出。これが採択され、73(昭和48)年に市と国鉄が無償貸与の契約を締結。同年に整備されたこの公園に設置されることになったという。

◆ファン訪れて

 「鬼滅」に登場する機関車について同保存会3代目会長の堀江悦郎さん(78)は「(車体上部の)ドームが二つある。ハチロクに似ているといえば、似ている」と笑顔で語った。

 人々がフェンスの中に入ってSLと触れ合うことができるようにと、同保存会では年に5回、一般公開を実施している。次回は5月5日の「こどもの日」だ。元国鉄職員でもある堀江さん。旧国鉄で活躍したハチロクに注目が集まることについて「ファンが訪れて地域が活性化すれば」と期待を込めた。

◆公園のシンボル

 一方、茂原市のハチロクは子どもたちに人気の交通公園「萩原公園」にある。本物のような信号機や横断歩道が置かれた同公園のシンボル的存在。フェンスで遮られず、間近で眺めることができる。

 公園内の看板などによると、このハチロクも1922(大正11)年に製造された。総武本線などで運行され、71(昭和46)年に廃車に。同年には市が旧国鉄から無償貸与を受けた。公園を管理する市都市整備課は「SLは子どもからお年寄りまで広く愛されている。子どもたちが周りでお弁当を食べたりと、なごんだ風景も見られる」としている。

 公園はJR新茂原駅から徒歩10分程度。駐車場は広くないため、来訪する場合は公共交通機関を利用した方がよさそうだ。

◆思い出、未来へ

 大正時代から昭和初期に旅客用として国内で量産されたハチロクは、その後も活躍し人々の生活を支えた。「鬼滅」が好きな娘たちと同公園にハチロクを見に行ったという情報提供者の太田さん。「小学生のころ、寒い朝に踏切待ちをしていたら、東金駅を出たハチロクが目の前を通過する時、ボイラーの熱気でほんのりあったかくなったのを思い出した」と振り返る。

 漫画や劇場作品によって、令和の時代の子どもたちの「記憶」にも鮮明に残ったSLの姿。太田さんは「願わくは、解体されることなく後世に残ってほしい」とした。


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