新型コロナ流行で芸術家たちは 世界194組の動画紹介 Artists’ Breath 市原湖畔美術館

コロナ禍の中で世界のアーティストたちが投稿した動画を紹介している会場
コロナ禍の中で世界のアーティストたちが投稿した動画を紹介している会場
和田永の動画。設計図を海外に送り、現地で家電楽器を制作、演奏してもらうまでを伝えている
和田永の動画。設計図を海外に送り、現地で家電楽器を制作、演奏してもらうまでを伝えている

 新型コロナウイルスが地球規模で流行し、芸術祭や展覧会が思うように開けない中、世界のアーティストたちはどのように過ごしているのだろうか。市原湖畔美術館(市原市)で開かれている「Artists’Breath」はそうした疑問に答える展覧会だ。アーティストたちがインスタグラムに投稿した動画を一堂に紹介し、彼らの「生の息吹」を伝えている。

 紹介している動画は、アートディレクターの北川フラムの主導で昨年6月からスタートしたインスタグラムのプロジェクト「Artists’Breath」に投稿されたもの。コロナ禍の中で彼らが何を思っているのかを伝えようと、毎日更新された。

 昨年から今年に延期された「房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス」(会場・市原市)など、北川が総合ディレクターを務める五つの国内地域芸術祭に出展するアーティストたちに動画投稿を呼び掛けた。展覧会は世界36カ国・地域、計194組のアーティストが投稿した約2分間の動画を活用し、映像作家の高橋啓祐がインスタレーションとして再構成した作品を中心に紹介している。

 インスタレーションは世界地図をモチーフとして「生命の海」を表現した映像を背景に、アーティストの投稿動画を映すいくつもの画面が並び、複数の動画が同時上映されては、次々に切り替わっていく。会場内にいると、あらゆるところからコロナ禍に関するアーティストたちの声が聞こえてきて、アートの分野においてもコロナ禍は世界共通の“事件”であったことに改めて気付かされる。

 ただ、動画内のアーティストたちは総じて前向きで、頼もしさすら覚える。この非常時を「もっとクリエイティブになるチャンス」と捉えて作品制作に没頭したり、ジョギングや畑仕事など新たなことに挑戦したり。

 古い家電を新しい楽器に蘇生する和田永の動画に目を引かれた。設計図をコロンビアに送って現地で家電楽器を作ってもらい、演奏してもらうまでを実現する、といったコロナ禍ならではの「リモート・アート」だ。ロックダウン時に家に出入りするハトと仲良くなったのを機に、ハトになる練習を始めたというオーストラリアの作家ミカーラ・ダウアーの取り組みも奇抜で印象深い。

 これらの動画はインスタグラムでも視聴が可能だが、スマートフォンで見るのとは異なり、会場では世界中のアーティストとの一体感を味わえる。同館担当者は「アーティストたちの思いを肌で感じられる空間になった」とし、来場を呼び掛けている。(平口亜土)

◇市原湖畔美術館 (市原市不入75-1)

 「Artists’Breath―コロナ禍の中、アーティストはいま」は6月27日まで。平日10~17時、土曜・祝前日9時半~19時、日曜・祝日9時半~18時。月曜休館(祝日の場合翌平日休館)。一般800円、大学・高校生・65歳以上600円。(電話)0436(98)1525。


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